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怪しげなG/覚醒せし魂

 「こ、こわいね……」

 「ああ、そうだな……」


 正直怖くない。一般人は、見えないからこそ怖いのだと思うが、割とはっきり見えている俺は、大した恐怖を憶えない。

 それどころか、幽霊と思わしき存在を見ても、特に寒気を感じなかった。


 ただ、この屋敷はまずい。先ほど入るときに見た奴が、段違いでやばかった。


 「有藤君……あんまり怖そうじゃないね」

 「まあ、そうだな……免疫があるっていうか、あれよりヤバいの遭遇してるっていうか……」

 「あれ……?」


 澤島からはあれが見えていないのだろう。不思議そうな顔をする。


 現在、俺たちの目の前―――というより、なんか屋敷の全体にまんべんなく色々な霊が見える。

 長い髪の女、正体不明のでかい幽霊、顔面が崩れきった霊、世界観のわからない武装をしている霊もいた。―――いや、その人って死んでないだろ?


 あ、ずっと唸ってる霊もいる。


 なんだろうか。先日までとんでもないのと戦ってから、なんとも思わない。全然怖くない。


 そんなことを考えていると、突然ボールが飛んでくる。


 「きゃあああああ!」

 「うおっ!?うるせ」


 俺は、ボールより澤島の悲鳴に驚く。


 「ぼ、ぼ、ぼ、ぼ、ボールが……」

 「あー、怖いねー」

 「ち、ちょっとなにその反応!?」


 俺は見ていた。そこらへんにいた霊が、ボールを手に取って投げるさまを……

 怖く―――ない!


 え?見えてると、こんなにシュールなの?全然肩強くないのか、女の子投げでこっちに届いてないし。


 すると、照明灯が突然揺れ始める。


 「ひゃあああ!今度は照明が!」

 「あ、うん……」


 めっちゃバシバシしてる……

 猫かな?


 俺の目の前、つまり照明の下にはジャンプしながら、照明にジャブを続けるシュールな霊がいる。なんだろう、今度から純粋にお化け屋敷を楽しめなさそうだ。


 様相が怖いのに、やってることが怖くない。


 バタン!


 「ああ、扉が……」

 「閉じたねー」


 俺は見ていた。嬉々とした顔で勢いよく扉を閉める霊が

 やっぱり怖くねえんだよなあ。


 そう思いながら見ていると、霊と目が合った。相手は、俺が見えているのか見えていないのか判断に困っているのか、おろおろしていた。


 取り敢えず、軽い会釈をしておく。すると、相手も気まずくなったのか会釈してくる。


 え?再三言うけど、本当に怖くないんだけど!?


 「な、なに!?なにに会釈したの!?」

 「ああ、気にすんな。そんなに悪い奴じゃなさそうだったよ」

 「そ、そう?なら―――」

 「きゃあああああ!」


 澤島が俺に合わせて、会釈をしようとすると、他のメンバーの悲鳴が聞こえてきた。その悲鳴を聞いた澤島は見事に腰を抜かしてしまい、俺におんぶされる形で、悲鳴のところまで来た。


 「どうした?」

 「澄香が!澄香が!」

 「アヒャヒャヒャヒャヒャ」

 「な、なんだこれ!?」


 駆け付けた時の状況は一言で言うと、カオスの一言だった。


 俺たち以外のメンバーが全員揃ってはいたが、そのうちの女子一人が明らかにおかしな事になっていた。

 その女子は、合コンの際に男子と女子の間に入って話題を作るあからさまな陽キャというものだった。あの明るい女子がここまでおかしなことになっているのか。


 見た感じ、異変は見られない。ただ、よくよく見ていると口の中から瘴気のような、黒い靄が出ている。


 「澤島、降ろすぞ」

 「え?ああ、うん、いいよ。ありがと」

 「ふう……よし」


 俺は、その場から駆け出して、発狂している女子を押し倒して馬乗りになった。


 「お、おい!なにしてんだ!」

 「【黙れ】」

 「っ!?……かっ……はっ……」


 俺の力で、四宮を強制的に黙らせる。そんな四宮をよそに俺は、狂乱の女子の口の中に手を突っ込む。


 「おごっ……おえ……」

 「もう少し……我慢してくれよ」

 「おぐ……うえ……」

 「取れた!」


 そう言うと、俺は女子の中から暗黒物質ダークマターを引き抜いた。当人もえずいていたから、相当気持ち悪い感触だったのだろう。


 「はあ……はあ……わたしは……」

 「大丈夫か?なにか憑りついて―――というより、憑りつきかけてたぞ」

 「た、多分あの引き出しの中を見たせいだと思う」

 「引き出し?」

 「でも、助けてくれたのはありがたいんだけど、早くどいてくれない?重い」

 「あ、わるい」


 俺はそう言いながらどくが、他のメンバーはなにが起きたのか理解できずに、ただ茫然としているだけだ。


 その中で、四宮が質問してくる。


 「と、取れたってなにが?」

 「ああ、美幸たちには見えないかな……。多分、私たちにしか見えてないんだと思う」

 「「「え?」」」

 「あ、見えてんの?」

 「うん。それが取れてから色々はっきり見えるようになっちゃった」

 「なんじゃそりゃ……」


 バタン!


 「「「ひぃっ!?」」」


 突如、全員が入っていたドアが閉まる。俺と目の前の女子以外、必要以上に驚く。そんなにビビるなら最初から入るなよな。


 だが、俺はおかしいことに気付く。


 「あれ?ドアを閉めてるやつがいない?」

 「あ、本当だ。ていうか、この部屋の霊が全部いなくなってない?」

 「本当だ……」


 先ほどまで部屋には3、4体ほど霊がいたのだが、いつの間にか一体もいない状態になっていた。どうしたんだ?


 ひとまず、状況が状況なので、全員をひと固まりにする。ここで下手に動かれたら、こちらも助けようがない。


 『人は人でなくてはいけない』

 「な、なんだ?」

 「なにこれ?」


 突然聞こえてきた言葉に、一行は困惑する。もちろん、俺も困惑している。こんなような言葉は初めて聞いたからだ。


 『プロムの光を受け、人でなくなりし者よ。大人しく裁きを受けるがいい』


 その声とともに、天井裏から怪人が降りてきた。


 「きゃあああああ!」

 「おんなじ悲鳴ばっか上げんな!うるせえなあ!」

 「で、で、でも怪物が……」


 クソ、ドアが閉まってるからこいつらを逃がすことはできない。いや、この化け物の狙いは能力者である俺。なら、ほかの奴は……


 「お前……レイトになる……その女……殺す」

 「へ?え?私?」


 『殺す』と言われたのは、俺ではなく、先ほどの女子生徒。澄香、という少女だ。


 「逾槭?譁ュ鄂ェ縺ョ蜷阪?繧ゅ→縺ォ縲ゅ°縺ョ閠?↓豁サ繧」


 俺たちには認知できない言葉を怪人は使い、手を突き出す。俺は嫌な予感がしたので、すかさず澄香の前に飛び出る。


 「【弾け】!」


 カァン!


 怪人の突き出した手からは、棘が飛んできて俺たちを貫こうとする。

 が、俺の能力で弾いた。


 「お前、レイト、ではない。でも……我々の敵……裏切者プロムに近い」

 「なっ!?」


 俺は急接近してきた怪人の攻撃を受け止めきれず後方に吹き飛ばされる。


 クソ!前の怪人より、圧倒的に強い!なんなんだこいつは!


 『目覚めよ』

 「ぐっ……なんだ急に……」


 突如、俺の頭の中に声が響く。


 『目覚めよ。魂に受け継がれし、私の子【ネフィリム】よ』

 「が……はあ……な、なんだ……体が……」

 「お、おい!どうしたんだよ!なにが起こってんだ!」


 突然、俺の体が光始める。なにが起こったのか全く分からない。


 「はあ……あ……ぐああ……あぐあ」

 「なんだ……今の光はプロムの……」


 そして、俺の体の光が次第に収まっていき、現象がストップする。


 「お、おい、なんだその姿……」

 「有藤……君?」

 「なに言ってんだよ?俺は俺だろ?さっきまで見てたじゃん……か?」


 俺は困惑する四宮たちに俺は無事であることを伝えようとするが、なにか様子がおかしい。

 そう思いながら、俺が喋っていると、ふと鏡に映る俺の姿が目に入った。


 その姿は人間と遠く離れ、どちらかと言えば怪人


 「な、なんだよこれ……」

 『その姿は……【ネフィリム】ではない。なんだその姿は!お前は、兼平壮吉の子孫ではないのか?』

 「なに言ってんだよ。俺を元に戻せよ!」

 「レイトには死を……人なくなった。これでは主は人を愛せない」


 なに言ってんだよ!どいつもこいつも訳の分からねえことを!


 ドゴン!


 そうしていると、いきなり部屋のドアが蹴破られる。新手の怪人か?

 そう思ったが、違うようだった。


 そこにいたのは、機械仕掛けの鎧を着た人間?みたいなものだった。


 『敵戦力2体確認。神田君、くれぐれも任務を忘れないように。優先事項は子供たちの保護よ』

 「わかっています。芹沢さん」

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