怪しげなG/幽霊屋敷
今日は休もうと思ったけど更新しちゃった
「「「……」」」
汐が殺されてからというものの、俺たちはめっきり会話をしなくなった。
というより、俺がしなくなったというのが正しいだろう。
俺は常時図書館に閉じこもり、気になることを検索し続けている。
その中でわかったことだが、奴が口にした言葉の『マラーク』というのは、ヘブライ語で神の使い、つまり『使徒』を意味する言葉であることがわかった。
ということは、俺が使っている力は『使徒』の力というわけだが、いったいなにが起きているというのだろうか……
もしかしたら、神話が関与しているのかもしれないが、あいにくタイトルがわからないと、検索にひっかっからない。
俺たちは重大なヒントを得られないまま、汐の死の痛みが拭えないまま、次の依頼を受けてしまったのだった。
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「ほんっとうに頼む!合コンの人数合わせに来てくれ!」
「はあ……」
「最初に来るって言ってた奴が、今日になってドタキャンしやがって……
だから、お願いだ!人数合わせに……」
「いいよ。出てやる。酒を飲まないか監視する名目でな」
「あ、ありがとう!じゃあ、今日の七時に駅前な!服装は私服の方が良いかも!」
そう言うと、依頼人―――四宮裕は、部屋を後にした。
今回の依頼は、合コンの人数合わせのために参加すること。依頼人の四宮は、俺と同学年だがクラスは違う奴だ。俺もあいつもお互いのことはよく知らない。
ただ、噂は耳にする。校外の女子をナンパしてはヤリまくりだとか。ヤクザとのつながりがあるだとか。色々な黒い噂が絶えない。おそらく、ドタキャンした友人もろくな人間じゃないのだろう。
あまり気乗りはさないが、依頼だ。ここは大人しく引き受けるとしよう。
「大丈夫なの?」
「問題ないさ。それよりも……」
「……」
俺と芽衣は、大人しく本を読んでいるサブを見る。
あいつは、少し見ないうちに体が成長している。以前は5、6歳児程度の体だったが、今はどう見ても小学3年くらいの体格になっている。性格も、以前のようなうるささが無く、ただひたすらに本を読んでいる。
明らかに様子がおかしい。だからこそ、芽衣にはサブの様子を見ていて欲しい。
「サブの様子を見ておいてくれないか?」
「そうだね。なんか前より男の子っぽくなってるっていうか、カッコよくなったていうか……」
「もしかしてショタコン?」
「違うよ。とにかく、なにか変なのは私もわかってるから」
「じゃあ、頼むよ。家を追い出されたから、サブのことあんまり見てやれないからさ」
「わかった、任せて」
それから、しばらくして俺は集合時間の十五分前に駅前に来ていた。
現在、駅前に集合している気配はない。まあ、それなりに早い時間だし仕方ないか。
騙されてるんじゃないかと一瞬だけ思うが、そんなつまらないことをするためにわざわざ依頼を出したとは思えない。
しばらくすると、四宮当人が来て、それをきっかけに女子や俺たち以外の男子が、集まって来た。
それから男子四人、女子四人の計八人が揃ってから、四宮が仕切るように、ファミレスに入っていった。
まあ、高校生の自称合コンなんてそんなもんか。
そこから、自己紹介が始まったのだが、クソほど興味もないので、俺と四宮以外は女子ABCDと男子ABとでも呼ぼう。
流石に口頭では言わないけど。
それから、合コンは進んでいき、同じ学校である俺と四宮の話になった。
「それでこいつさあ。前の彼女を捨ててんのよ!浮気してさあ!その点で言ったら、俺は誠実よ。いつでもどこでも、愛を囁けるぜ!」
「「「……」」」
四宮が饒舌に俺を貶しながら、自分自慢をする。四宮はこの発言がどれだけこの場所の空気を悪くしているのかわかっていない。
だが、俺も反論するつもりは無い。四宮の言う事はほぼ事実だからな。
どこもかしこも、由愛由愛由愛由愛!
もう終わったことだろうに。
気にしてはいないが、やはりストレスには変わりない。だからあまりそういう事は言わないで欲しいものだ。
「有藤君は、反論しないの?」
「したところで止まんないだろ?他人を貶して、自分を高く見せようとする奴はな」
「お前……」
「そういう事を言われたくないのなら、わざわざ来てやったやつを陥れるようなことするなよ。つまんねえんだよ」
「わ、わりぃ」
俺は、こじらせた漫画とか小説の主人公じゃねえんだ。言いたいことは言う。必要なければ黙ってる。その分別ができる人間だ。
まったく関係ないが、主人公ブラック勤めとか陰キャとか多すぎ。そんなに卑下されてるのが好きなの?マゾ?
そんなこんなで、時刻は九時。俺たちは駅から少し離れた廃屋に来ていた。
状況説明をすると、メンバーの半分がホラーや心霊好きの者ばかりで、途中その話で盛り上がったわけだ。
しかも、近くに有名な心霊スポットがあるとして、ファミレスを出ていこうという話になってしまったのだ。
あまりにも急だが、高校生のノリなどこの程度だ。
俺たちが来た廃屋は、幽霊屋敷と言われ、入ったら呪われる屋敷とも言われている。
噂では、ここに度胸試しで入った一行が、一人も残して全員死んだとか。その一人は今もなお怪奇現象に悩まされているとか。とにかくよくない噂が多い。
中でも、建物の中にある棚を見た女性が一番ひどかったらしく、屋敷内から心神喪失状態になり、帰還後も突然発狂したり、自傷行為があったりと悲惨な終わり方だったらしい。
しかし、この一行はネット上の作り話だとか、なんだとかで真相は不明なままだ。
だが確かなこととして、この屋敷の近くの住人はこの話に触れないし、実際にこの屋敷に住んでいたと思われる家族の死亡届も提出されている。
「こうしてみると不気味だな」
「そうだね。さすがの私もちょっと怖いなー」
そんな風に、この場にいる全員は呑気なことを言っているが、あまりそう油断もしていられなさそうだ。
「よし!じゃあ肝試しいくか!と、言いたいところだけど。ここは二人一組で行こう!」
「いいねいいね」
「じゃあ、みんなさっきの会話でいいと思った人と組んでくれ」
四宮がそう言うと、各々がペアを組み始める。俺はというと、さっきの会話で心象が悪かったのか、誰一人としてペアを組もうとしていなかった。
まあ、別に単独行動ならその方が都合が良さそうではあるが。そうもいかないのだろう。俺に近づいてくる女子がいた。
「あ、あのペアを組んでくれませんか?」
「あ?別にいいけど、俺でいいのか?」
「う、うん……。捨てたって話は気になるけど、話してた感じタイプだったから」
「モノ好きだな」
「ペア組んでくれる?」
「いいよ」
「ありがとう、よろしくね」
俺に近づいてきた女子は、女子D―――もとい、澤島美羽。彼女は、他の女子たちとは違い、地味目な格好をしている。
おそらく、俺と同じで人数合わせか引き立て役かなにかで連れてこさせられたのだろう。
まあ、順当な流れでそいつが俺のペア相手になった。その子も、他の男子に見向きもされずにいた。ちょっと不憫だな。
「ペアは決まったな?じゃあ行くぞ!」
「「「おー!」」」
こうして、俺達を残して、四宮たちは順繰りに入っていった。
「じ、じゃあ私たちも行こうか……」
「ああ、気をつけろよ。この屋敷いるから」
「え?どういう……」
俺は、澤島の手を引きつつ屋敷の中に入っていった。
屋根に覆いかぶさるように存在する大きな怪物を見ながら




