Kの風刃/3人目の能力者
さて、どう説明したものか……
現在、俺は委員長とともに、とある公園のベンチに座っている。
今からしなきゃいけないのは、先ほど起こったことの説明だ。
「なんなのよ……さっきのは……」
「色々あるんだよ。少なくとも、現在進行形で委員長に恨みを持っている人間がいるってことだ」
「ああいうのって、他の人も持っているものなの?」
「多くはないが、俺も数人に遭遇してる」
「そう……」
俺の話を聞いて俯く委員長。やはり、今回の件は精神的に来るものがあるのだろう。
そんなことを思ったが、どうやら俯いたのは別の理由で、彼女は自分の話をし始めた。
「私ね、不思議な力があるの」
「!?―――お前にも力があるって言うのか?」
「うん……1週間くらい前から急に、ものが透けて見えるようになったの。最初は服が透けていきなり裸を見ちゃうこともあったけど、最近は制御も出来てるの」
「そのことは誰かに言ったか?」
「お父さんとお母さんに、伝えただけ。二人以外には教えてない」
「そうか……教えてくれてありがとうな」
彼女も能力者だったのか……
どうりで、ヘルメットしても顔がバレるわけだ。
彼女が能力を持っているなら、リスクの話は一応しておいた方が良いか。
俺は、そのついでに、今の俺の状況を話すために、彼女に俺の事情も伝える
「俺の能力は【全知全握】。端的にいうのなら、全てを知覚して、変化させる能力。この能力に、今のところ不可能という言葉を感じたことがない」
「なにそのチート……」
「でもな、致命的な欠点があるんだ」
「欠点?」
「前に遭遇した能力者は、代償的なものを感じていなかったから、一概に言えるものではないが、俺の能力にはかなり凶悪な代償がつく」
「どんな代償なの?」
「感情を少しずつ削られていく。使う力によって、代償の大きさは変わる」
「そんな……」
俺の言葉に、委員長は絶句する。おそらく彼女は、今の自分に何か欠落したものが無いか心配になっているだろう。
だが、俺ほど能力を使ったわけではないだろうから、そこまでの心配は必要ないだろう。
「俺は、感情を失って由愛を傷つけたくない。その前に、岩貞に由愛を任せておきたい。だから、俺はクズであることにした。お前が知りたかったことは、これであらかた言い切った。後は気をつけて帰れよ。俺は家を追い出さられたから、宿を探さないと」
俺はそう言って立ち去ろうとすると、ふと袖を掴まれる。
もちろん、掴んだのは委員長だ。
「待って、なら私の家に来て。私を護衛して」
「それは、依頼か?」
「……?あ、そういえば学校に変な部活が出来たって、あなたの部だったのね?―――ええ、依頼よ。私を守って」
「承知した。で、お前の家に行けばいいのか?」
「ええ。両親にはあなたが能力者だという事を話しておくわ。そうすれば、泊まることは許してくれると思う」
「それは、ありがたいな」
「でも、私に変な事をしたら、殺すからね?」
「しねえよ」
俺は、こうして予期せぬ依頼により、宿を手に入れたのだった。
だけど、俺は想像してなかった。この先に起こる、誰も想像してなかった結末があるなんて
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
「ただいまー」
「お邪魔します」
俺は、委員長に案内されて、彼女の自宅に来ている。
外装、内装共に綺麗な家で、なんだろうか委員長のイメージ通りの家って感じだ。
奥からやってきた両親らしき人達も、委員長によく似ている人たちだった。
「おかえり。汐、そちらの方は?」
「この人は、私と同じ能力者の人。今日、助けてもらったの」
「そうか。怪我はないか?これからも気を付けるんだぞ。こんな訳のわからない力。誰が狙ってるのかもわからないんだぞ」
「わかってる。だから、これから数日、この人に護衛を頼むの。だから―――」
「泊めてもいいぞ」
「へ?」
「娘の恩人だ。無下には出来ない」
「お父さん……」
委員長のお父さんは、頭が柔らかい。なのに、なぜ委員長は頑固なのだろうか?
俺はそう思いながら、委員長を見る。
「なによ?」
「いや、なんでもない」
「なによ!その可哀そうな人間を見る目は!」
「そうカリカリすんな。カルシウムをもっととれ」
「ぶっ殺!」
俺の言葉に心底むかついたのか、暴れ始める委員長。実に滑稽である。
そんなこんなで、俺は委員長宅での1日目の生活を終えた。
「で?」
「そういうわけなんで、部室に委員長が来ます」
「はああ!?私委員長苦手なんだけど!なんか、正義感臭いし」
「悪かったわね。曲がったことが嫌いなのよ」
「げっ、委員長」
梓―――もとい芽衣が、委員長の悪口を言ったタイミングで現れた。
委員長は堂々としているが、芽衣はどこかばつが悪そうだ。
なら、言うんじゃねえよ。めんどくせえな。
「ふーん、ここが劉生探偵事務所ね。ここってあれでしょ?噂の図書館の……」
「ああ、そうだ。ここは旧図書室。誰も寄り付かないから、静かにするにはここがいい」
「ふーん。あなたってインドア派だったのね」
「ああ、そうだよ。必要なら外に出るけど、俺は基本的に、中で勉強するかゲームかのどっちかだ」
「へー、もっとアクティブな人かと思ってたのにね」
別に、由愛と一緒に行くデートはどこにいても楽しかった。だが、それを他の人と行って、楽しめる自信がない。だから、最近は家から有事以外は、屋内にいる。
ていうか、この情報どうでもよくね?
「あの、僕の依頼は……」
「ああ、そうだな。ならこの後、事務所メンバーで飯でも食いに行くか」
「どうしてですか?かまいたちを探してくれるんじゃ……」
「現在、委員長が狙われているんだ。しかも、奴は戻ってくる旨のことを言っていた。おそらく、どこかのタイミングで奇襲をしかけてくるはずだ」
「え?私って囮だったの?」
「違う。ちゃんと守ってやるし、エサにするだけだよ」
「それを世間一般に囮っていうのよ!」
そんなこんなで、俺たちはかまいたちにお目にかかるために、先生に渡された書類を終わらせて、食事に向かっていった。
さあて、委員長使って、かまいたちを捕まえてやる。場合によっては、2度と人を傷つけることが出来ないように痛めつけてやろう。
まあ、作戦決行は、食事後の夜9時ぐらい。なにがなんでも、委員長は助ける。




