サラリーマン個性
昼の顔よりも
夜の顔の方が好きだ
今日と明日の境目に
とまっている鳥のようで
その軽やかさの中にある
だらりと垂れたあなた自身が
こっちを見たりする
時間だけは有限で
寝てしまえば明日になることは
分かっている
束の間の止まった空間に
並べてある温かさと
不意にくる温かさが
一つのアトラクションのように
グルグルと回転している
固有名詞の感情であるか
名前のない宙ぶらりんの感情であるか
判断はつかないが
自身の名をつけながら
個性と呼んでいる
その虚しさを
他人を利用して埋めているのだ
変えられないものと
変えられるものがあるから
後は引き算である筈なのに
あの人は足して
この人は掛けている
割ってみたところで
そのまま小さくなるだけだ
誰かを鵜呑みにしながら
生きていくのであれば
ラジコンと変わらない
ロボットと云っていい
大量生産ではないが
作ることが簡単なものである
サラリーマンをあれだけ嫌いながら
どこかで同じことをしている
個性が重要だと述べるのは
皆、同じである
嫌がっておきながら
自分のこととなると
嫌がっていた感情が消えるらしい
なんて虫のいい話だろう
あまりものには福がある
元より
それが変えられない自分である
変えられなかった自分でも良い
誰も無視できない個性だろう
ちゃんと引き算をしたのだ
本来の楽とは
その状態のことなのである