メロンソーダの味 【月夜譚No.138】
この喫茶店のメロンソーダが、昔から私の好物だ。
透明なグラスの中に薄緑の世界が広がって、小さな泡がプクプクと生まれては上に昇っていく。その先にはドーム状のバニラアイスが鎮座して、真っ赤なさくらんぼが帽子のようにちょんと乗っている。
昔からずっと変わらない、ちょっとレトロなメロンソーダ。店内の様子も殆ど同じで、座るソファの柔らかさも端の縒れたメニュー表も、何もかもが懐かしい。
上京してから年に数回は実家に帰ってこちらにも寄っていたのに、今年は中々帰れなくて、今回は半年以上振りになる。たったそれだけの期間なのに、どうしてだろう、とても懐かしくて、とても嬉しいのだ。
バニラアイスとメロンソーダの境目、少し凍ったところをスプーンで掬って口に運ぶ、シャリっとした食感と共に舌の上で溶けて消えるメロンの香り。ああ、幸せの味だ。
次はいつ帰ってこられるだろう。来たばかりだというのに、ついそんなことを思ってしまう。