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エルフが絶滅した日。  作者: 結城 からく


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第59話 不死の悪魔

 視界の中で幾多もの光が明滅し、凄まじい痛みが走る。

 重力に引かれて身体が落下した後、間もなく大地と衝突した。


 私は焦げた腕を使って起き上がる。

 落雷によって全身が焼け爛れていた。

 左右の眼球も破裂し、熱い液体が頬を伝っている。


 もっとも、能力で知覚を補っているので支障はない。

 見た目は死体そのものであるものの、さしたる問題ではなかった。

 失墜の悪魔は魂の性質的に不死身だが、私は物理的に死なないのだ。


 全身に粘液を浸透させた私は疑似骨格を形成する。

 それを使って身体を操り、握ったままの鉈に力を込めながら跳躍した。

 再び失墜の悪魔へと接近していく。


 彼は高らかに笑いながら私を迎え撃つ。


「何度やっても同じですよ」


 その言葉と共に雷撃が降ってくる。

 私は鉈で受けて掻き消すと、術後の隙を狙って刺突を繰り出した。


 失墜の悪魔は素手で防御する。

 それで斬撃が止まるはずもなく、彼の腕を縦断して突き抜けた。


 返す刃で背中を滅多刺しにするも、失墜の悪魔は余裕の笑みを崩さない。

 彼は吐血しながらこちらを振り向くと、またも手を動かした。


「本当に殺せると思ってます?」


 突風が私に炸裂し、切り裂きながら遥か彼方へと押し流していく。

 進路上の家屋を破壊しながら、私は容赦なく吹き飛ばされた。

 やがて外壁にぶつかって穴を開けたところで勢いが止まる。


 そこに再び落雷の連打が叩き込まれる。

 骨の髄まで焼かれながら苦痛を感じていると、遠くから"失墜"の声が聞こえてきた。


「前回よりも僕の再生力は上がっています。粘液による阻害も大して効果がありませんよ」


「そう、か」


 落雷を弾いた私は跳ね起きると、鉈を大きな板に変形させた。

 頭上で構えながら疾走し、絶え間なく降り注ぐ落雷を防ぎながら距離を詰めていく。

 四方八方からの突風に肉体を切り刻まれるが、粘液の骨格を破壊するほどの威力ではない。


 私は不敵に笑う"失墜"へと襲いかかった。

 叩き付けた粘液の板に対し、彼はまたもや防御を選択する。

 魔術の盾が展開されたが、私はその防御ごと"失墜"の肉体を殴打した。


 音を置き去りにする速度の一撃が盾を粉砕し、彼の頭部から爪先までを圧縮する。

 そのまま半ば大地と一体化するまで叩き潰してみせる。

 刹那、私は手を止めずに追撃を敢行した。

 肉塊と化した"失墜"に向けて、私はひたすら攻撃を浴びせ続けるのだった。

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