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エルフが絶滅した日。  作者: 結城 からく


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第40話 使役の力

 騎士達が一心不乱に叫びながら突進してくる。

 防御を捨てて私に接近するその目は、明らかに正気を失っていた。


(使役の悪魔が操っているのか)


 これこそが彼の本領であった。

 数に任せた蹂躙だ。

 味方の心身を操り、意のままに行動させることができる。

 さらに力を注ぐことで、常人を悪魔に対抗できるだけの状態に仕立て上げるのだ。


 私は鉈を生成して、迫る騎士達を斬り殺していく。

 ところが騎士達は泣き笑いのような表情でしがみ付いてくるばかりだ。

 いくら切り裂かれようと関係ない。

 捨て身で圧し掛かってこちらの行動を抑制してくる。


 一方、使役の悪魔は悠々と語る。


「知ってるぜ。あんたが最も得意なのは泥沼の肉弾戦だ。傷付くほど強くなる復讐の性質と相性が良いもんなァ」


 私は指先から粘液を伸ばすと、鞭のように振るって使役の悪魔に攻撃する。

 しかし、それを予測していた彼は余裕を持って飛び退いて躱した。

 そのまま大股で歩いて離れていく。


「粘液の力は距離が開くほど力が落ちる。だから相手から近付くように誘導しているんだ」


「よく調べたな」


「知欲の悪魔から教えてもらったんだ。おかげで二百年も働かされた」


 忌々しげに愚痴る姿は、言葉とは裏腹に満足そうだった。

 苦労の成果が出て喜んでいるようだ。


 しかし、他の悪魔の力を借りるとはよほど恨まれていたらしい。

 徹底した対策には明らかに計画性が見られる。

 今回、帝国側にいるのも私怨なのだろう。

 状況的に都合が良かったからに過ぎないのだと思われる。


 騎士達に動きを封じられた私は、倒れた姿勢で粘液を射出した。

 これも使役の悪魔は大鎌で弾いてみせる。


「やはり中距離以上は弱いな。誰も殺せないのが不思議だぜ、まったく」


 彼は嫌味な愚痴を吐いた。


 私は圧し掛かる兵士を退けようとするも、一向にずらすことができない。

 彼らは絶大な狂気を以て私の拘束に力を尽くしていた。


(凄まじい拘束力だ。一人ひとりの身体能力が乗算されているのか)


 これも使役の悪魔の能力であった。

 従える数が膨らむほど影響が大きくなる。

 軍隊規模を操るとなれば、相当な強化に繋がるはずだ。


 ましてや彼は上位悪魔だ。

 能力も一級とも言えるもので、他の追随を許さない。

 動きを封じられた私は、反撃せずその場に横たわっていた。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 第40話到達、おめでとうございます! [気になる点] ここまでの所、「使役」に対して劣勢に見える「復讐」、どうやり返す? [一言] 続きも楽しみにしています!
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