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・・・・・・落ちていた。空から地面へ。落ちて、落ちて、落ちて、全てから解放されて・・・・・・
「ようこそ! 勇者さま! 此度の召喚に応じて下さりありがとうございます」
元気な声があがった。影が視線を上げて振り返った。白の薄汚れたローブを着ている少女。
「私は、魔術師のソニアといいます」
ソニアと目が合う。声が元気なのに、ソニアの瞳は潤み、震えていた。細いであろう肩も小刻みに震えている。
――あの
声をかけようと口を開いたとき、「勇者さま」、呼び声とともに、自身で涙を布越しの腕で荒っぽく拭っていた。
「これは、あなたの周りにあるものは魔法陣というものです。これで、私はあなたを召喚しました」
勇者は目線を魔法陣へと移動した。いくつもの線が重なり合い、淡く光っている。
――これで、自分は召喚されたのか。けど、どうして?
視線を戻すと、ソニアの笑顔があった。
「この世界には、魔王という悪しき存在、諸悪の根源がいまして・・・・・・勇者さま! そいつをあなたに倒してもらって世界を救ってもらいます!!」
――はい?
「そんな魔王を倒せる力はないって? 大丈夫大丈夫! 召喚された勇者さまにはチート魔法という特別な力が備わっているそうです!」
――・・・・・・?
「どうやって使うか、ですって? 私にもわかりません! 代々、召喚された勇者さまには、誰から教わらずとも、私たち人間が呼吸をして生きていけるように! 魚がえら呼吸をできるように! 勇者さまもチート魔法を自然にできるみたいです! だから安心してください!!」
――そんな、無茶苦茶な