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巨大白ムカデ討伐1

諸事情によりウサギ型召喚魔獣の名前がタリン→ルビに変更になっております。混乱させてしまい、申し訳ありません。

頭痛がするというお父様と、めまいがするというお母様に付き添って、お兄様は屋敷へと帰って行った。馬車が迎えに来ていたし、大丈夫だろう。

 残ったのは実妹、フリーティ。

 私の仕事は森や高原に出現する魔獣の討伐依頼を受けるのがメインで、その他色々やりますみたいなフリーの召喚術師なのだ。

これは遊びじゃなくてれっきとした仕事なんだけど、ついて来るってきかなくて……。

 さて。私は召喚術に使用するガラスの杖と召喚術書を持って、家を出た。北の洞窟までは森の中を徒歩で三時間ほど、飛ぶことが出来る召喚魔獣を操れば十分もかからない。

 私は呼び出したそれの背中に飛び乗って魔獣に指示を出し、飛翔する。

 町の北から深い森の上空へ。見渡す限り、地上は緑に彩られている。太陽はすでに夏の熱さを放っていた。


「お姉さまったら、こんなに上手くなったんですね……。あの頃からは想像もできませんわ」


 私が召喚したのは、赤系召喚魔獣のピリオット。この世界でいう鳥型の魔獣だ。ちなみにカラスに激似だが、背中に乗れるほど体が大きい。

 そして、隣を並走するのはフリーティの風船型青系魔獣リリシアである。さりげなく赤系よりランクが上の青系を召喚する辺り、妹の性格が伺える。


「努力なさったのですね。素晴らしいですわ。さすが、トルフィティ家の長女です」


 上辺だけの称賛に辟易する。この子、トルフィティ家の中で一番苦手だったんだよね。人を能力でしか見られないところとか。


「あーうん。努力はしたね」


「わたし、お姉さまのことを見直しました。素晴らしい姉を持って、幸せですわ」


 なんだろう、言い方がすっごい上から目線だ。変わってないなあ。今更腹も立たないけど。

 相手をするのが面倒になって来て適当に返事を返していると、


「姉妹で巨大ムカデ狩りに行くことになったのか? リティ」


 突然現れたルビが私の肩に乗っていた。


「あっ、どこ行ってたの? 途中から逃げたでしょ?」


「家族水入らずの時間を邪魔しちゃならないと気を遣ったんだがな」


「いっそ邪魔してほしかったんだけどね……」


 家族水入らずで土下座プレイだったよ。


 と、地上の森の中にぽっかりと開いた空間が現れた。段差があり、崖になっているためにそう見えるのだけど。


「あれが洞窟の入り口ですの?」


崖の途中に大穴がある。そこが北の洞窟だ。


「うん、そう」


 私が頷いた時、リリシアからフリーティが飛び降りた。


「え!?」


 思わず目を見開いてしまった。

 フリーティはなんなく崖のすぐそばに着地すると、得意げな表情で私を見上げてきた。急いでピリオットに下降指示を出す。


「お姉様、このお仕事、わたしがもらいますわ」


「何言って……! フリーティ! 前!」


 洞窟の入り口から、ミニサイズの赤いムカデがわらわらと落ちて来ていた。ていうか、派手に近づくからバレた上に狙われてるぞ!

 あ、あっという間に囲まれた……。


「ひっ、巨大なムカデじゃなかったんですの!?」


 子ムカデと一緒に住んでるんだよね。巣に近づく人間には容赦しないし。


「まったく」


 私もピリオットから飛び降りて、地面に着地した。それと同時に杖をくるりと回し、コンパスの要領で地面に円を描く。踊るように。


「黒き魔獣の地よ」


 自分を中心に円の中に蔦のような複雑な線を描いて行く。


「大いなるアリーナの息吹をここに」


 最後に円の中心に杖を突き立てる。


「リティアニーカ・トルフィティの名の元に顕現せよ!」


 杖の先端を空へ振り上げた瞬間、黒い光が召喚術の円から噴き出した。

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