表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

27/30

謎の魔獣とハーリーズの執事

 これが飛んで来た……のかな? 

 私は周囲を確認し、ゆっくりと立ち上がった。刺さっていた矢はかなり短い。弓道で使用されるサイズの、三分の一程度だろうか。


「ねぇ、ルビ」


 ウサ耳カチューシャを二、三回叩いてみると、


「んがはっ!?」


 そんな感じの声がした。

 おい。今、絶対寝てたよね。


「わ、悪い悪い。で、どうした? おっさん倒したか?」


 ほぼ最初から寝てたな?


「実は今」


 説明しようとした時だった。矢の刺さった木がぐにゃぐにゃと幹をくねらせ始めた。


「うえっ! なんスか、これ!」


 私とカリンは慌てて木から離れる。

 木は粘土のように形を変え、驚くべきことに最終的には木目のある人型に変化したのだった。

 目も鼻も口もない、現世でいう、マネキンのようだった。それは、自分に刺さった矢を抜くと、私達をチラリと見る。

  カリンをかばいながら、身構えると、人型は私達に背を向けて、のそのそと森の中へ消えて行った。

 しばし、私とカリンは呆然とする。ルビはどうだろ。多分、驚いてるとは思うけど。


「新種の、魔獣っスかね?」


「そうかもしれないけど、魔獣ってこんな感じの産まれ方する……?」


「擬態してたんじゃねーの?」


 なくはない可能性だけど、いや、どうだろう。


「こーんにーちはー」


 突如聞こえてきた妙に間延びした声に私達は反射的に振り返る。


「リティアニーカお嬢様、お久しゅうございます」


 深々と頭を下げたのは燕尾服……つまり執事服の男性である。残念ながらその顔に見覚えがあった。


「リティさんのお知り合いっス?」


「……いや、知らない人だね」


 私はカリンの手を引いて歩き出した。

 他人の振り&無視したのに、物ともせず、着いてくる。


「お嬢様ぁ、そうやってひねた態度を取るから、ハーリーズ旦那様に嫌われるんですよぉ?」


 嫌味な言い方がすごく腹立つ。ハーリーズの執事だ。

 私は立ち止まって、自分の前の地面に術円を描いた。


「嫌われてもまったく問題ないよ。あなたのご主人と私はなんの繋りもないので。ていうか、絡んで来ないでくれる?」


 私は顔だけで振り返り、


「どうしても構ってほしいって言うなら……本人が来なよ。相手してあげるからさ」


 そう言って詠唱の最後の言葉を口にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ