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フリーティの宣戦布告2

 私はため息を吐いた。


「まだ何か企んでるの? トルフィティ家は」


 私に負けたの、ついさっきじゃん。立ち直り早すぎ。


「お祖父様が動き出した、といえばわかります?」


 得意気に言われても。


「ハーリーズとかいうおじさんのことだよね。引退して隠居してるんじゃなかったっけ? 老いぼれさんが何するっていうの?」


「お祖父様によくそんな口をきけますわねっ」


 私は人差し指でフリーティの頬に触れた。ぐいっと力を入れる。


「ううう……」


「あのおじさんてそんな偉いんだっけ? 罵倒されたことしか覚えてないんだけど」


 あの人はあの人で「この役立たずが」が口癖だったなぁ。


「お祖父様はお父様に当主の座を譲られてからも、トルフィティ家のために日々、尽力していらっしゃる偉大な方ですわ。ちなみに、わたしやお兄様には凄く優しいですのよ?」


 もう面倒くさくなってきた。


「カリン、戻ろっか。逃げられちゃったから、もう一回話し合おう」


「え、いいんスか?」


「ちょっ! このまま行く気ですの!?」


 私は立ち上がって、カンガルー型魔獣エイリを見た。


「十分くらい経ったら放してやって。いつもありがとね」


 ポケットからペレットを取り出し、エイリの口元へ持っていく。匂いに反応してか、鼻をくんくんと動かした後、それを口の中へ入れた。美味しそうに咀嚼し始めたので、私はエイリの頭を撫でてその場を離れることにした。


「この仕打ち、覚えておきますわよっ」


 背後から負け犬の遠吠えが聞こえる……。


「ほー、あの状態でよく強気でいられるっスねぇ」


 まったくだよ。


 カリンと一緒に歩きつつ、振り返った。


「そうだ、アルゴットに伝えといてよ。再戦ならいつでも受けてあげるってさ」


 フリーティはその後もなんか騒いでいたけど、あとはエイリにお任せだ。付き合ってられない。


 ハルビアの屋敷へ向かう途中、カリンはちらちらと後ろを気にしているようだ。


「大丈夫だよ。エイリは命令なしに誰かを傷つけたりしないから」


「え? あー、そうなんスけど、ちょっと可哀想じゃないっスか?」


 まぁ、そう見えるよね。でも、小さい頃から暴言暴力の嵐だったクソ妹に対する処置としてはかなり甘々なんだよね。

 正直、ボコボコにして簀巻きにして木から吊るして一日放置するくらいじゃないとわりに合わない。

 私はそんなことを考えていたのだけど、何故か突然、鳥肌が立った。


「! カリン、こっちにっ」


 妙な殺気を感じたのだ。私はとっさにカリンの手を引く。


「わわっ」


 結果、私とカリンは絡み合ったまま地面に倒れ込むことに。


「う……いたた」


 私は背中と肘を思いっきり打ち付けてしまった。カリンを抱きとめる形で倒れたのもあるけど。


「ど、どうしたんスか? いきなり」


 私は倒れこんだまま視線を上へ。木の幹に、矢のようなものが刺さっていた。

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