表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/30

ハルビア家にて2

 報酬の交渉も終わったし、本題に入ろう。まず、詳しい話を聞く。

 アルゴットにやったように力業で退治するのは簡単だけど、黒系白系の召喚術を何回も使っていると、体にダメージが蓄積していく。ゲームのMPみたいに消費数値が見えれば良いんだけど、この異世界にはそういう要素がないらしいのだ。何回使えるかは術者の感覚で判断する。


「それで、いつから現れたんですか?」


「うん。二週間くらい前だね。日課にしてる、散歩をしてる時に泉から顔を出してきて、驚いた覚えがあるよ」


「ちなみに意志疎通は取れそうでした?」


「何か言いたそうにはしてたんだけど……とっさに召喚術で魔獣を呼び出したからか、威嚇されてしまってね。以来、近づけないというわけだ」


 あの姿……私の場合は転生だけど、転移してこの異世界へ来た人もいるんじゃないだろうか。

 誰かに召喚魔獣として呼び出されたのかもしれない。

 ……私は、何を期待してるんだろうか。


「何か攻撃を仕掛けられたりとか?」


「飛びかかってきたよ。だから反撃したんだけど、それでも追い払うことができなくてね」


 対話を試してみる価値はありそうだ。


「わかりました。じゃあ、行ってきますね」


「たのむよ。それと、カリンをよろしく」


 私は頷いて、カリン、ルビと共に南の泉へ向かうことになった。


「ではでは、お手伝いってことでよろしくお願いしまっス」


「うん。こっちこそ」


 ちなみにルビはすでにウサ耳バージョンだ。


「そういえば、あの杖、こわれちゃったんスよね?」


「ああ、あれね。便利だったんだけどね」


「新しいの買わないんスか?」


「今考えてるところ」


 ルビにも言われたが、あまり高いものを買うとろくなことがないのだ。

 雑談を終えたところで、南の泉に到着した。茂みから覗くが、おじさんの姿はない。泉に潜っているのかも知れないが、水が透き通ってるから考え難いが……。


「いないみたいだね」


「いいや、この泉凄く深いんスよ。底が見えてるように見えるっスけど、そうじゃなっていう」


「え、そうなんだ」


 結構怖いな。

 私は泉の縁に立った。今回は、カリンも止めなかった。

 泉の中を覗き込んだその時。


「!」


 ぬっとハゲ頭が水面から出てきた。

 私は慌てて後ずさる。


「顕現せよ!」


 爪の術円からカンガルー型召喚魔獣を呼び出す。

 するとおじさんはゆっくりと泉から上がってきた。うん、昨日見た通り、ビールっ腹にトランクス姿だ。


「リティさん、加勢するっスか!?」


 後ろからの声に私は首を振って、


「大丈夫」


 泉の縁に立った彼は虚ろな瞳をしていた。


「……あなたは何者なんですか?」


 言葉が通じるような気がしてならない。そう語りかけてみると、


「あ、が……き」


「え?」


 今何か言った?


「なんですか?」


「あがきがきががかあきが」


 彼の口から漏れるその音が、意味をなす言葉ではないとすぐにわかった。背筋が冷える。

 やっぱり日本からの転移者だなんて予想は都合が良すぎたかな。

 たまたまこういう形をした新種の魔獣なのだろう。


「こおおおお」


 そして、喉奥から漏れるような声を出しながら歯茎をむき出しにしてきた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ