王様に報告を
弟子にしてほしい。
カリンにそうお願いされたわけだけど、とりあえず保留にしてもらった。私に師匠が務まるとは到底思えないからだ。これでも修行中の身だし。
カリンと分かれた私は王宮に来ていた。巨大白ムカデを退治したので、その報告をするためだ。
兵士について、通路を歩き、やがて見えてきた金色の装飾がしてある鉄の扉の前に立つ。
「リティアニーカ殿。すでに陛下はおいでです」
「ありがとうございます。後は大丈夫なので」
兵士は一礼して、持ち場へ戻って行った。
「さて」
私は鉄の扉の取っ手を引いた。
「失礼します」
目の前に王座の間が広がる。両端には太い柱が等間隔に並んでいる。中央、奥に向かって伸びる赤い絨毯、その先は階段になっていて、高くなっている台の上に王座があった。座っているのはもちろん、この街というか国の王だ。名はクドルフ・ソルト・アリーナ。正確な年齢はわからないが、五十代だろう。金色の刺繍がされた豪奢なマントと王冠、そして例に漏れず立派な白髭を蓄えている。
王座の間には専属の兵士が数人、柱の前に並んでいる。不届きを働けば即座に切り捨てられるだろう。
私はゆっくりと王座の前まで歩き、片膝をついた。
「陛下、私、リティアニーカ・アルフが北の洞窟の白系巨大ムカデを討伐いたしました。ここに、ご報告させて頂きます」
「うむ」
王様は髭を撫で、
「いやぁ、ありがとね、リティちゃん! 助かっちゃった」
失礼とはわかっててもこの人に国王の威厳を欠片も感じないんだよな。
彼は両手を胸の前で合わせる。
「それにしても、変な生物だったよねぇー。ほんと、ムカデって言葉がぴったり!」
ムカデ……それは私がついそう呼んでしまったために日本名で生物登録されてしまったのだ。この世界では初めて発見されたムカデみたいだったから。
ゴキブリっぽい生き物が見つかっても、日本名を口走らないよう気をつけよう。虫系は大抵巨大化した姿だから身の毛がよだつ。
「北の洞窟はそのままの状態にしてありますので、調査隊を派遣されてはいかがですか?」
「うんうん、すぐそうするねー」
ノリ軽いな。
「そういえば、殺人窃盗団も捕まえてくれたんだよねー? ほんと、助かっちゃう」
「お褒めにあずかり光栄です」
「ところで」
王様が真剣な表情になった。
「良ければ、息子に会って行かない?」




