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カリンの提案

諸事情により、アルゴットとの勝負の期日を三日後から明日に変更させて頂きました。よろしくお願いします。

 勢いで勝負を受けてしまったが、後悔はしていない。してないけど……私はダメだな。完全に子供のような対応だった。トルフィティ家を恨んではいないとか言っておきながら、挑発にのってしまったのだから。


「リティさん、大丈夫っスか?」


「!」


 私ははっとして隣を歩くカリンを見やった。


「ごめん。大丈夫だよ」


「で、でも震えてるっスよ」


 自分の肩を抱くと、確かに小刻みに震えていた。


「……うん。ちょっと怖かったんだ。あの人、平気で酷いこと言うし、するしで。拒否反応って言うのかな。あの時は対抗する力も逃げることも出来なかったから」


「暴力振るわれてたって話っスよね?」


 私は頷いた。


「虐待じゃないっスか! 後遺症とかないっス?」


「どうしても消えない痣はある。……いくつか」


 カリンは絶句して、無言で通信石を取り出した。


「カリン?」


「あ、父様? ちょっと一人、始末してほしい人がいるんスけどー。そうそう、息の根を止めてどこかに沈めてほしいっていうか」


「待て待て待てっ、ちょっと」


 私は通信石を奪った。


「あの、何かの間違いです! 失礼しました」


 恐らく相手はカリンの父親であろう。通話を一方的に切った。


「どうしたんスか?」


 いや、きょとんとしないで。


「何する気? ダメでしょ! 色んな意味でっ」


「闇打ちっすよ。うちが雇ってる手練れの狩猟部隊なら証拠残さないから、心配しなくとも」


 狩猟部隊って証拠残さずに闇討ちするのか……? 本来は銃器を用いて魔獣を狩る人達って意味だけど。


「ね?」


「ね? じゃないでしょ!」


 カリンは息を吐いた。


「リティさん、優しいっスね。でも、女の子の体に痣を残すような暴力振るう人間と正々堂々と戦う必要ないっスよ」


「うん、まぁ、そうなんだけどね」


 カリン、決断力あるな……。普通、いきなり闇討ち依頼するか?


「なら、明日の勝負中に狙撃するってのはどうっス? 足とか撃ち抜けば動きが鈍るはず」


「カリン」


 私は彼女の肩に手を置いた。


「ありがとね、私のために。でも、大丈夫。私の手で直々に再起不能に追い込んでやるつもりだからさ。それに……これでトルフィティ家とは本当の本当に縁切るつもりなんだ。あの人を倒すことが出来れば、吹っ切れる気がする」


 あの人のせいで、他の使用人達の態度も変わって、さらに辛い状況に追い込まれてしまっていたのだ。


「リティさんの真っ直ぐな考えは間違ってはいないっスけど、あたしに任せて今のうちに殺っといた方がよくないっスか?」


 本当に心配してくれてるんだなぁ。凄いこと言ってるけど。


「でもさ、殺したら、負け犬顔、見れないんだよ?」


「な、なるほど」


「じゃ、行こうか。とりあえず王様に報告したら、明日の準備。カリンの家には午後に行くよ」


「勝負した足で来るんスか!?」


 もちろんだ。午前中で終らせる予定。

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