リティVS四人の男3
諸事情によりウサギ型召喚魔獣の名前がタリン→ルビに変更になっております。混乱させてしまい、申し訳ありません。
曲がりくねった路地をこのまま進むと街の中央広場に出る。そこへ到達するまでに捕まえることが出来なかったのは悔やまれるけど、すでに警察に連絡済みだ。住民の避難は完了しているだろう。
暗い路地を抜け、中央広場に入った、その瞬間、鳥肌が立った。この感覚はウサ耳からの警告だ。
「うおらぁっ!」
男の声と空気が弾けるような音、つまり発砲音。そして体をそらす私。
結果的に私の持っていた透明の杖が先端から中心にかけて、粉々に砕けて地面に散らばる。
衝撃によろけてしまったが、体には当たらなかった。危ない危ない。
「おいおいっ、この前買ったばっかりの高いやつじゃんか!」
と、悲痛な声をあげたのはルビである。
わかってる。こんな状況じゃなかったら私も膝から崩れ落ちてるよ。気に入ってたのに……。
それはそれとして油断した。完全に不意をつかれてしまった。
「あー。もう。奮発するとろくなことがないなっ」
私はヤケクソになって、使い物にならなくなったそれを地面に放った。
小型の拳銃を構える二人の男と対峙する。
「よう、嬢ちゃん。こりゃあんたの差金かい?」
中央広場に人気はない。不気味に静まり返っている。民家の窓から時々子供達がこちらの様子を伺うが、親に怒られてすぐにカーテンが閉められる。
私は彼らの質問に答えることにした。
「そうだよ。どうせ、人質を取るつもりだったんだろうし」
「ほう。やるじゃねえか。でもなぁ、嬢ちゃんの獲物はその様だ。古くさい召喚方法は使えねぇぜ? もう高ランクの魔獣は呼び出せねぇだろ」
古臭い、ね。まぁその場で円を描くのは確かに効率悪いんだけどね。
「アニキ、こいつ今なら丸腰だぜ。このまま殺っちまおう」
「いいや。俺達には人質が必要だ。……手をあげろや」
「……」
「早くしろっ」
私を人質にして、王様に金品を要求するつもりなわけね。分かりやすくて助かるな。
「はいはい」
私は両手を上げた。ばんざーい、なんてね。
「よーし、そのまま……え?」
私の頭上に、まるで見えない指でなぞるように白い光の円が描かれた。術に必要な紋様が一人でに描き込まれて行く。
「な、何してる!? どうなってるんだ、おまえ」
太陽の光を集めて、空間に直接術用の円を描いてるってだけだよ。効率より何より、私はその場で円を描いて召喚する方が好きなのだ。自分の想像力もプラスされ、より必要な召喚魔獣を呼び出せるからな。
さて、さすがに白系は詠唱を飛ばすわけにはいかないか。
私は両手を下ろした。
「白き魔獣の地よ。アリーナの息吹をここに」
そこまで唱えたところで、
「ふざけんなっ」
男が引き金を引いた。
そりゃそうするよね。でも、震えた手で撃っても当たらないし、ルビのウサ耳のおかげで避けられる自信がある。
と、その時だった。
私の前に飛び出してきて、銃の弾丸を弾いたのは黒系のライオン型魔獣、アクノだった。
「くそっ、てめぇっ、何体召喚できんだっ」
銃を連射し始めるも、アクノの長い尻尾がそれらを確実に弾いていく。
まさか助っ人が来るとは思わなかった。でもこれで安心して、唱え切れる。
「リティアニーカ・トルフィティの名の元に、顕現せよ」
すると、男の一人が腰の刃物を抜いた。それは刃渡り数十センチはあろうかという剣で、刃の部分がノコギリのように波打っていた。
質が悪いやつだ。あれで斬られたりしたら、傷口がぐちゃぐちゃになってしまうだろう。
「これはなぁ、魔獣も一発でぶっ殺せる剣なんだぜっ」
銃を捨て、身構える男。だが、もう遅い。
術の円から白い光が噴き出す。光の中から出現したのは、白くて細い竜……つまりは白系のリーカーだ。それは空へと昇って行き、雲の中へと消えた。そして、雲が勢いよく発達したかと思うと、白い稲光が空に迸る。
「うぉるああっ」
駆け出すのが遅いんだよ。
「やっちゃって」
私の一言が合図だった。今度は空と地上を稲光が走る。白系リーカーの一撃は男達の真上に雷という形で落下し、
「ぐああああっ!?」
中央広場は、私の想像以上の眩い光に包まれた。




