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正義ゲームI  作者: エンピツ
6/7

ー出会いとは繋がりを示すー

ここはどこだ?俺は確かカナエが砂漠の中に吸い込まれて、グランドと別れたんだよな。ってことはここは砂漠の中だよな。俺はここが砂漠の中であることをあえて確認した。

何故なら、そこには大きな大樹があったからだ。大樹が地中にある時点でこれは魔法だということが分かる。日本には地中で存在する大樹が存在しないからだ。あまりの大きさに俺は声を漏らす。

「大きな。この樹。」

そう俺が眺めていると後ろから起き上がる気配を感じた。カナエだ。カナエも俺の前にある樹に驚く。カナエも我慢出来ずに俺に問う。

「なんでこんな所に樹が?」

「俺に聞くなよ。てかここを早く出よう。上でグランドが待ってる。」

だが、カナエは慌てて俺に聞く。

「待て!下手に動くんじゃない!忘れたのか?私達は突然砂漠に吸い込まれたのだ。ということはここには私たちを吸い込んだ奴が潜んでいるということだ!動くのは危険すぎる。」

カナエにもっともなことを言われ、俺も冷静に考える。冷静に考えた結果俺もカナエに言う。

「じゃあ、その奴は何故俺たちに深追いをしてこない?深追いしないことを考えると仲間の可能性が高い。」

すると、カナエは呆れた顔をしていてこちらを向いている。カナエはため息混じりに俺に言う。

「もしも、仲間じゃなかったらどうする気だ?ここは下手に動かない方が良いだろう。」

冷静な意見に俺も反論をした。

「でも、動かないと何も分からないんだ!『もしも』の時は『もしも』の時だ!」

カナエは呆れた顔をする。

「分かった。二手に分かれよう。私はここで上からのグランドの助けが来るのを待ち、君は私たちを引きづりこんだ奴を探し出せ。」

俺はその意見に納得し、とりあえず歩ける道を探した。周囲を探索するが、よく見ると周囲が砂の壁で覆われていた。

「何だよ。この樹の周り、探すも何も道がないじゃねぇか。」

すると、俺のスマホからレンが言う。

「レイさん。カナエさんはどこに行きました?」

俺はレンの言葉に息を飲む。

「えっ?」

後ろを振り向くと、さっきまで呆れた顔をしてたカナエがいなかった。

「何ぃぃぃ!嘘だ!さっきまで居たはずだ!」

そうすると後ろの砂の壁から長い黒髪をした男が現れて、俺を見て笑っていた。

「くっくっくっ!もうすでに攻撃は始まってたんだよ!レイさんよぉ!」

「お前!カナエをどこやった?」

俺の質問に対して、無視してその男は話し続けた。

「ここは砂漠の中だぜぇ。砂漠の砂を完璧に操るこの俺を倒せるものは誰もいねぇ。お前もカナエもここで終わりだ。俺の神器デシーテは砂を操ることを得意とするぜ!」

そうすると長い髪の男は砂の中へと消えていったが声は聞こえていた。

「全方向から攻撃してやる!テージ!サンドマン!グラデイション!」

すると、砂の壁から長身5メートルはある砂でできた巨大な男が現れ、俺を殴り潰そうとした。俺はとっさにレッドイスパーダの鞘で受け止めるが、地面からも拳が現れ思い切り殴られた。俺は天空へと打ち上げられるが天井の砂からも拳が現れ殴られ、地面に叩きつけられた。

「ぐはっ!こいつ!どこからも攻撃しやがる!くそっ。テージ!プロテクション!」

俺は砂で出来た男に向かって斬り込んだが、もちろん砂なので当たらなかった。俺のスマホから声がした。

「レイさん!当たり前です!そいつは砂で出来てます!」

とレンに当たり前な報告をされた。俺は考えた。すると、さっき地面に叩きつけられたことにより、頭から流血していた俺は血が垂れて、地面の砂が固まったことに気づいた。

「そうか!血だ!」

だが、とてもこの微量の血じゃあいつを倒すには及ばない。どうすれば良い。かと言って自分を斬るのも気が引ける。考えていると長い髪の男は笑い出す。

「考えても無駄だ!無駄だ!無駄だ!このサンドマンは絶対に『物理攻撃』は聞かないからな!」

『物理攻撃』?そうか!相手が魔法なら俺も魔法を使えば良いんだ!

「この刀で魔力を発生させるんだ!つまりよう!こういうことだ!」

俺はレッドイスパーダでもう一度サンドマンを斬った。長い髪の男は俺を嘲笑った。

「お前、オツムがイカレてんのか?『物理攻撃』は効かないって言ってやったのによぉ。」

俺はニヤッと笑いかえす。

「悪いな。そのサンドマンは解体の時間だぜ。『物理攻撃』は効かないんだろ?つまりさっき斬った時貰ってきた魔術で作られてるサンドマンの砂を持てば!これをレッドイスパーダにつければ、これで俺の刀も魔術が塗られた刀ってことだよな。行くぜ!新必殺!」

「こいつぅぅぅ!しかし、サンドマンの方が頑丈だ!こんなガキに俺のサンドマンは屈しない!テージ!グラデイション!」

俺も男と同時に詠唱する。

「テージ!砂付き新プロテクション!」

真っ直ぐに飛び上がり俺は身体をひらひらとさせて、サンドマンの首を狙った。サンドマンのパンチは俺に当たらず地面に終わった。俺はその隙にサンドマンの腹を真っ直ぐに斬った。

「よし!真っ二つ!」

男は震え声をあげた。

「さ、サンドマンはやられても私がいる!私がいるのだ!もう一度呼び出してやる!」

俺は笑顔で言う。

「その前に斬ってやるよ。」

俺は地面を蹴ろうとすると、地面が『砂』だと言うことを忘れていた。『砂』から砂の手が生え、俺を掴んだ。

「し、しまった!こいつの神器は『砂』を操る能力だった!」

長い髪の男は俺に向かって名前を口にした。

「私の名はクローゼル=サンディオだ。覚えてから死ぬといい。テージ!サンドソード!グラッツ!」

砂で出来た剣を俺に向かって振り下ろしたが、その剣は空中で止まった。クローゼルは何事だと、一回剣を自分の手に戻す。すると、クローゼルは背後を見る。そこには大きな大樹がツルを伸ばしていた。その大きな大樹は最初この砂漠の中で見つけた大樹だった。思わずクローゼルは声に出す。

「これは何だ?樹?」

すると樹が答えた。

「そのものは殺してはいかん。貴様は何者か知らぬがどいてもらおうか。マギア!ダイラ!」

そう詠唱すると大きなツルでクローゼルを薙ぎ払い、クローゼルはそのまま地面に転がる。

「ぐあぁぁぁ。やってくれたなぁ!この植物風情がぁぁぁ!テージ!サンドマン!グラデイション!」

砂の壁からまた砂で出来た男が現れ、樹を殴ろうとしたが、あっさりツルで受け止められた。クローゼルはその光景に絶句する。

「何だと!?詠唱もなしにサンドマンの拳を止めた?そんな馬鹿な。」

樹は大きな声で言う。

「自然の偉大さを知るがいい。この害虫が。マギア!ダイガ!」

無数の樹から出るツルがからまり合い、拳の形になりサンドマンを殴る。サンドマンは一瞬にして崩れ、その砂がクローゼルの元へと落ちた。クローゼルの叫び声が聞こえたが、すぐに静かになった。

「うわぁぁぁ!ーーー。」

すると、さっきから喋っている樹の裏に丸いドアがあり、そこからおじいさんが出てきた。そして、俺に向かって言う。

「あやつは砂の下敷きになった。しばらくは魔術が使えんハズじゃ。砂の手は無くなったかの?」

聞かれたので、見るとさっきまで俺を固定していた砂の手は無くなっていた。

「無くなってる!おじいさんは誰なんだ?」

咄嗟に俺は聞いてみた。

「わしの名前は木山ホウヨウじゃ。お前さんが黄金団新人のレイくんじゃな?」

「あぁ。何故俺の名前を知っているんだ?」

「わしも金城ゴルドとは関係があるからの。わしも金城ゴルドに助けられたことがある身じゃ。その部下をわしが助ければ、ちょっとはゴルドの恩返しになるかと思っての。」

「じいさん!!!団長を知っているのか!それでか、俺を助けてくれたのは。ありがとう!」

「いいのじゃ。というよりお主はなぜここにいる?」

「あぁ。そのクローゼルって奴に引きづりこまれたんだ。それで戦闘になってたんだ。」

そういうと俺は大事なことを思い出した。

「カナエ!じいさん!カナエを知らないか?途中で逸れた白い髪の黒ドレスをした女の子なんだ!」

じいさんはまったく知らない様子だった。

「くそっ!この地中が広すぎる!」

俺はそう言って闇雲に探し続けていたら、遠くから爆発音がした。そうすると男の声が聞こえてきた。

「くっくっくっ!惨めな女だ。黄金団団長に可愛がられてたぐらいで調子乗って俺に剣を向けやがって。ハッハッハッ!」

その男が向いている方向を見ると、血だらけになっていた人が見えた。それはカナエだった。俺は叫ぶ。

「カナエーーー!おい!そこの男!辞めろ!」

俺の大声に男はこちらを向く。

「なんだぁ?てめぇは。てめぇも黄金団の生き残りかぁ?」

「あぁ。だとしたらお前は何だ?黄金団を潰して何がしたい。」

「だとしたらお前もあの話聞いてたよな。『弱者は何も望むことが許されない』って。つまりよぉ!てめぇら『弱者』はいらないんだよ!」

俺は怒り任せにレッドイスパーダを抜こうとし、戦闘態勢に入るも、相手は話した。

「やめとけよ。俺の神器は爆弾だ。もぉ、この地中には爆弾が大量にある。下手に動くとボンだ。」

俺が動かずにいると、血だらけのカナエは立っていた。

「私は『弱者』ではない!テージ!煉獄雨!」

大量の燃えた短剣が男の方に向かうが、その短剣達は一瞬にして空中爆破した。

「あぁ。悪い。俺の周りにはすでに魔法陣が見えない所にある。俺に近づくものは爆破する。さっきからてめぇはよ!学習能力がねぇな!そんなお前には特大級の爆発を見せてやるよ!テージ!ディジョン!」

この地中をまるごと埋め尽くすような爆弾が降ってきた。しかし、俺の背後から見てたじいさんが詠唱した。

「マギア!ダイランド・ワールド!」

大樹が大きなツルとなり爆弾に絡みつき、爆弾は破裂しようと膨らむがやがて収まって停止する。

俺は素早くじいさんにお礼をした。

「サンキュ!じいさん。とりあえず、カナエ!逃げるぞ!色々話すことが俺にもある。」

と俺は言ったが、カナエはその場で倒れてしまった。俺は抱き抱えてこの地中から脱しようと思ったが出来そうにないので、爆弾が神器の男から離れることにした。やがて男が見えなくなったのでカナエを地面に下ろした。じいさんがやがてトコトコと来た。

「あやつはしばらくわしの魔術によって当分来ないわい。」

「何をしたんだ?」

じいさんは興奮して大きな声で言う。

「テージ!ダイランド・ラビリンス!じゃ。ツルで迷宮を作った。おそらくここに来るには時間がかかる。その間にここから出るぞ。」

「出れるのか?じいさん。」

「あぁ!わしのツルがある。テージ!ダイジン!」

すると砂の地面からツルが生えて、はしご状になった。そして、俺はカナエを抱えて登った。しかし、当てもない俺とカナエはたとえ地中から出ても、行き先が決まってないので意味のないことに気づく。

「くそっ!地中からは脱出出来たが、これからどうすればいい?カナエはもう動かなさそうだしな。」

じいさんが俺に言った。

「ではしばらくわしについてこないか?当てもないのなら老人の悩みに付き合いなさい。」

俺は少し老人には乱暴だが声をあげた。

「無理だ!!!カナエが!血だらけなんだ!動けないんだ!」

「大丈夫じゃ。そこには医者がおる。」

「本当か!すぐ行こう!」

だが、このとき俺はもう一人の仲間の存在を忘れていたのであった。とにかくカナエのことで頭いっぱいな俺はじいさんに頼み込む。

「分かった!なんでもするから頼む!カナエを助けてくれ!」

「なんでもっと言ったな。ついてこい。」

俺はいつだってそうだ。不安な時も当てもない時も誰かに出会う。俺は出会いに感謝しかない。出会いが必ず俺の道を示してくれる。そう心で言ってカナエを抱え込みながらじいさんのもとに走った。










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