第2話:臨時周辺調査部
突然会社ごと異世界に転移してしまった月日たち。
なにが起こったか調査すべく、臨時周囲調査部が設立された。
「いいね!いいね!異世界いいね!ヤッフッッッッ!」
「なぁ月日、お前テンション高すぎないか?何があるかわからないってのに・・」
「でも私も楽しいよー!!ツッキーがこんなにテンション高いのはじめ見れたし!!」
「はぁ・・お前らは小学生かよ・・・もういいやどうにでもなれッ!」
臨時調査部と言っても、提案したのは月日である。
よってメンバーも月日によって決められ、半ば強引に調査しているに近い
それに巻き込まれたのが、剛と小春であった。少数で、周囲だけと言う
条件で許可され結局このメンバーでということになった。
「おおおおぉぉ!なんか見えてきたぞ!!」
「ちょ!おま、一人で行くなよッ!クソがぁぁぁぁぁ!!」
「うふふ、ツッキー楽しそうだねー!!!」
「他人事かッ!はぁ・・・・」
しばらく歩いていると、月日が何かを発見し我先にと走り出してしまった。
剛は半分呆れ、あとを追う。小春は月日が楽しそうで嬉しいみたいだ。
「剛!小春!早くーーー! 町だ!町があるよ!!」
「わかったからッ!一人で行くなよッ!」
「ツッキー隊長について行くであります!!!」
「お前らホントいい加減にしろよッ!あッ!だから待てって月日ーー」
ほどなくして月日が見つけた町に到着した。
町は活気に溢れ、様々な種族が混在していた。
「うふぉふぉふぉ!!! すごい!猫耳!兎耳!犬耳!なんかわからんが色々いるぞぉぉ!!」
「だからッ!待てって!落ち着け。そんな急がなくても逃げんだろうがッ!」
「そんなことわからんだろ!またいつ元の世界に戻ってしまうかわからんのだから!」
「そうだけどよ、今は軽く周辺を調査してみんなのとこに戻ろうぜ。」
「まぁそれもそうだな・・・」
と言うか、月日はなんか人格破綻してないか?前のテンション低いキャラどうしたよ・・・
剛は少々不安になりつつも月日を静止した。
「ツッキー!タケ!見て見てーー!!!!!!」
小春の呼ぶ声がしたので振り返って見ると、
「おぉぉぉぉ!!!小春なんだそれはぁぁぁ!!」
「たくッ、小春まで勝手に行動すんなよッ!」
「だってー!!美味しそうだったんだもん!!いいじゃん!!ちょっとくらい!!」
小春が手にしていたのは何かの串焼きだった。
見た目は牛串に近いが、異世界なのでなんの肉だかわからない。
「まぁいいや・・・で、それなんだ?」
「うーんとね、ウルフなんちゃらの串焼きだって!!」
「おぉぉぉぉぉ!!ウルフなんちゃら!!」
「なんちゃらで解決しようとすんなやッ!と言うかお金どうしたんだよ?」
「え?なんかポケットに入ってたボールペン見せたらこれと交換でいいって!!」
「おおぉぉ!ナイスだ小春!とりあえずウルフなんちゃらがどんな味か気になる!」
いいのか剛?いいのか?自問自答する剛はもう本当にどうにでもなれッと思っていた。
「はむッ!うーん。普通だ。特別うまいわけでもなく、うむ。普通だ。」
「そうだね、普通だね。」
剛が自問自答してる中、そんなの御構い無しにウルフなんちゃらの串焼きを食べていた。
こいつら本当にしばいてやろうかッ!と心の中で考えていた剛。
「タケ!何してんの!早く行くよー置いて行っちゃうよーー!!」
「なんで俺がッ!グダついてるみたいになってんだよっ!と言うか俺の肉は?!」
「え?無いよ! だって一串しかなかったし、一串3個しかくっついてなかったもん!!」
「いやいや・・おかしいだろッ!3個くっついてんなら一人一個いけんじゃねーかッ!」
「ツッキーが食べちゃった☆」
「クソがぁぁぁぁぁぁ!!」
元の世界とはもはや別人に近い月日と、フルテンション通常運転の小春に
振り回されてばっかりの剛であった。
「さぁーて、そろそろ戻るか!お腹も減ってきたし」
「そうだね!お腹も空いてきたし、一旦戻ってみんなに報告しよう!」
「お前らッ!さっき肉食ったろッ! まぁ町も安全みたいだし戻ろう・・・・」
そんなこんなで、一行は町を後にし会社へ戻った。
「ただいま戻りました!」
「おう!戻ったか!で、月日様子はどうだった?」
そこで待っていたのは健吾だった。社員たちも転移してから時間がたち少しずつ状況を理解しているみたいだった。
「そんなこんなで、周囲はそんな感じでした!」
「そうか、町があったのか。」
月日は健吾に今日の出来事もとい、調査報告をした。
健吾たちも現在の社員数の確認などをしていたらしく、現在転移が確認されている社員数は
月日たち含め、578名だった。本社ごと転移したにしては人が少ないと思った月日は健吾に問う。
「あぁ、確かにうちの会社の社員数は2000人を越えているが転移した時はデザイン部と営業部が主で他の部署は数名いる程度だったから!」
そうだった・・・
営業部は他の部に比べて異様に出勤時間が早い。
営業部は毎日決まった通り、出勤が早いのだが、デザイン部は日によって出勤がバラバラなのだ。
しかし、その時に限って締め切りに押されており、デザイン部の出勤が早かったのだ。
部署別での人数は
デザイン部:370名
営業部 :108名
宇宙開発部:45名
総務部 :35名
人事部 :10名
清掃員 :10名
営業部も全員が転移してきたわけだはなく、約半分程度が転移に巻き込まれていた。
デザイン部は全員転移に巻き込まれていた。
「大矢くーん!」
「久里浜さん!やっぱり巻き込まれていたんですね!」
当然の事ながら、受付で顔を合わせていた久里浜さんも転移に巻き込まれていた。
「うん。でも大矢くんも一緒に巻き込まれててよかった!・・よくは無いか・・・」
「でも無事でよかったです!」
「あ!ちーちゃん!無事でよかったぁー心配してたんだよ!!」
「小春も無事でよかったぁ!」
3人が無事を確認仕合ほっとしている中、なかなかその輪に入れない人物がいた。
そう、白川 剛である。抜群のコミュニケーション能力をもつ剛は久里浜 千秋に
恋心を寄せていたが、そのせいか千秋とうまく話せないのである。
そこで助け舟を出したのが月日であった。
「剛!久里浜さんも無事だったぞ!こっちこいよ!」
先ほどの殺意は消え失せ、さすが親友月日くん!と心の中で思った剛であった。
「お、おう。ち、千秋さんッ!ご、ご無事で何よりですッ!」
「白川くんも無事でよかったよ!」
「は、はい!あ、ありがとうございます!」
なぜかお礼を言っている剛に対して、月日と小春は腹を抱えて笑っていた。
「お前らやっぱぶっとばーすッ!こっちこいやッ!」
剛の怒号が響く中、森の奥で赤い光が無数ときらめいているのであった。
そのことに誰も気がついてはいない。