第1話:いつもと違う
初投稿作です。
わからない部分が多いと思いますが、温かい目でご覧ください。
「異世界に行きたい、それか異世界転生してくれ・・・」
薄暗い部屋の中で一人そう呟いていた。
俺は26歳。名前は大矢 月日
毎日同じことを呟いている。
現在俺が存在しているこの世界は平和すぎる
毎日朝起きて、仕事へ行き終われば夜に帰ってくるの繰り返しだ。
モンスターもいなければ、多種族もいない、つまらない世界。
「あぁ、異世界に行きたい、それか異世界転生してくれ・・・」
また同じことを呟き、眠りに落ちる。
そして、目が覚めると朝日が昇りまた平和なつまらない日常の始まりだった・・・・
「はぁ・・・結局いつもと同じ朝。まぁ異世界とか存在するわけないか・・・」
いつもの日常に少なからずガッカリしながら会社にいく準備をする月日であった。
軽く朝食をといつものように家を後にし、いつものように満員電車に揺られ会社に到着する。
「おはようございます。」
会社に入るといつものように受付嬢がいて、いつものように挨拶された。
「うん。おはよう」
「大矢くん 今日もテンション低いし、やる気なさそうだし、いつも通りね」
この受付嬢こと久里浜 千秋は社内一美人で有名で
他の会社でもその美しさは有名であった。
「久里浜さん いつも通りでいいんですよ、どーせ何も変わらないんですから。」
「まぁ大矢くんがそれでいいならいいんだけど、でも私はいつもと違うわよ?」
心底どうでもいいと月日は思っていた。
「ネイルと前髪が3センチ、それとアイラインがいつもと違いますね。」
「さすがね・・・絶対自分から言わなきゃ誰も気づかないのに、そんな女の細かい部分に的確に気づくなんて、今日もいつも通りね。」
月日はいつもと違うという部分に関しては誰よりも敏感で何がいつもと違うかを瞬時に理解できるのである。ただ記憶力が極めて高いと言うだけだが。
本来ならそこまで細かく気づき指摘される時点で気持ち悪いのだが、
久里浜さんは少なからず月日に好意を寄せてるため、気持ち悪いとは思っていなかった。
「ツッキーおはよー!!!!!!!!!!!!!」
背後から無駄にテンションが高い声に挨拶された。
「うん。小春うるさい。おはよー。」
「うるさいとはなんだ!!!!!! 挨拶は元気よくが基本なんだよ!!!!!!」
この無駄にうるさ・・元気がいいのは同僚の橋下 小春
いつ何時でもこのテンションを保っている狂人である。
「ちーちゃんもおはよー!!!!!」
「小春ちゃん おはようございます」
全く、なんで朝からと言うかいつもか、こんなテンションをいられるんだ。
こちとら低血圧な上に、いつもと変わらん日常を迎えたことによりテンションがついていかない。
その点、さすが受付嬢の久里浜さんだ、誰が来ようと安定の対応だった。
月日と小春は受付を後にし、事務所に向かった
月日は早々と自席につく、そこで慣れ慣れしさの塊である男に声をかけられた。
「月日ーおーっす!今日もいつもと同じでテンション低そうだなー」
「剛か、おはよう。別に低いわけじゃない、いつもと同じなだけだ。」
「まぁテンションが低いには変わりないだろー、それより今日もちあきちゃん可愛かったな」
「まぁ、可愛いは可愛いが興味ない。」
この男は白川 剛よく言えば誰とでも分け隔てなく話せるやつだが
誰にも遠慮がないと言える。しかし、受付の久里浜さんだけにはなぜかうまく話せないのである。
「あんな可愛い、ちあきちゃんに興味がないとはお前やっぱりホモ・・・」
「殺されたいのか?」
「いや、殺されたくはない。でもよ、みんな噂してるぜ!タダでさえ女顔なのに、月日は女の話に興味ないと言うか、どうでもいい感じだしよ。」
俺は別に女に興味がないわけじゃない。周りが原因なのだ。
生まれてから女の子と間違えられるのは日常茶飯事、名前も女だか男だかわからん名前だし
最近あった出来事で言えば、スーパー銭湯で女性用のロッカーキーを渡され剛に大笑いされたことが記憶に新しい。
「まぁ、とにかくホモでもないし女性にも興味はある!以上!」
「あぁ、はいはい。わかったよ。」
月日の発言に剛はぶっちゃどうでもいいように返答した。
周りはその発言によって少々ざわついたが、みんな何事もなかったかのように仕事に戻った。
久里浜さんにも聞こえてたらしく、みんなに見えないところで小さくガッツポーズをした。
「それでは朝のブリーフィングを始める!」
部長の号令によりブリーフィングが始まった。
そもそもここがなんの会社かと言うと、飲食店から宇宙事業まで幅広く展開する企業である。
わかりやすく言えば、なんでも屋に近い。
と言っても、数打ちゃ当たる!と言うことではなく、どの業態もそれなりに利益を出している。
それなりの大企業なのだ。
月日たちが所属する部署はデザイン部である。
この会社にとってデザイン部はいわば花形部署なのだ、社内のほとんどのデザインに精通して
いる部署であり、社内で一番人数が多い部署でもある。
「では今日も一日頑張って行きましょう!」
「「「はい!」」」
そして今日もいつもと同じ日常が始まるはずであった・・・・
ザザザザザザザザザザザザァァァァァァァァァ・・・・
ザァァザザザザザ・・・・
突然、社内中にノイズのようなものが響き渡る。
社員たちも聞いたことのない音が鳴り響いいているので困惑気味であった。
「なんの音だろうな?」
月日が誰に聞くでもなく疑問をそのまま口に出していた。
「なんかの故障じゃねーか? っておいッッッ!!」
剛が月日の疑問に返答した直後にエレベーターが落下しているような感覚に陥った。
ほどなくして、ノイズと落下は収まった。
社内の人々は皆、困惑していた。それもそのはずである、建物の中だと言うのに
突然の落下による浮遊感に襲わせていつも通りしていられるわけもない。
「止まったな。剛大丈夫か?」
「あぁ、特に俺自身は異常はない。」
この現象からしばらくして、社員であろう人物がデザイン部に駆け込んできた。
「おい!お前たち無事かッッ?」
「大丈夫みたいです。って健吾さんじゃないですか!」
「おぉ!月日!無事みたいだな! と言うよりみんな早く外に出てくれ!大変なんだ!」
平坂 健吾営業部第一課 部長で入社したて月日を面倒見ていた人物である。
健吾の話では、あの現象の直後、表に出て外を確かめに行き、それを見て目を疑ったと言っていた。
わけがわからず、健吾の指示に下がい月日は外へ向かった。
「・・・・すげぇ・・・・スゲェェェェェェェェェェェェェェェェェ!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
月日も健吾同様、最初は目を疑ったが外に広がる光景に興奮してならなかった。
「なんだよこれッッ!!!!」
「ツッキーこれはどう言うことなの・・・・」
「「「すげぇ・・・・」」」
剛と小春、デザイン部の社員たちが外の光景をみて驚愕していた。
それもそのはずだった。
外の光景はいつも見慣れている光景ではなく、見慣れない広大な大地が広がっていた。
「ヤッフッッッッーーーーーーーーこれは異世界だろォォォォォォォォォ!!」
全員が驚愕している中、月日だけは違った。夢にまで見た異世界。
絶対叶うはずがないと思われていた光景が広がっているのだから仕方ない。
「うん!いつもと違う!いつも通りじゃない!ヤッフッッッッーーーーーーーー!」
月日だけが異様なテンションの中、こうして夢見た異世界生活が始まろうとしていた。