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何を思えど時は進む

 マジでどうなってんだ、これ?俺は人間だろ。何でこんな体になってんだ?犬?どう見ても犬の体?……いやいや、そんな訳ないだろ。こ……これは夢だ。そうだ、きっとそうだ。はは、俺の想像力も捨てたもんじゃないなあ。はは、ははは、はははははは……。



 こんなのやってられっかよ!!俺は起きるぞ。こんな世界はおさらばだ。そうだ、壁に突進すればきっと起きるはずだ。こんな手(足)じゃほっぺたも抓られないからな、じゃあさらばだこの世界。


 「キャンーーーーーーーーーー(痛えーーーーーーーーーー)」



 あー、痛え、目まいがする。今度こそホントに死んじまうんじゃねえか?そうなったら本当に笑えないなあ。理由は分からないけど奇跡的に目覚めて、奇跡的に死んでなかったってのに。



 ……でも、どうして戻れてないんだよ。どうして夢が覚めないんだよ!どうなっちまったんだよ!!


 てかここは……どこなんだ?


 よく見渡すとかなりの大通り、駅なんかの残像はどこにもない。その様相は中世ヨーロッパの街並みのような品格を放っていた。あれ……案外悪くない。まるで、おとぎ話の風景だ。


 というか琳は?そんなに時間が経ってないからそんなに遠くには……。


 「ワン!(いた!)」


 俺は四足歩行で駆け出す。慣れてないはずなのに体が覚えているのだろう。不自然なくらいに違和感がない。そんな彼女は元々制服を着ていたはずなのに追いかける後ろ姿は見たこともないような服を着ていた。でも、彼女の来ている白いドレスのような物は彼女を清廉な人物に見せる。


 というよりここまで何の躊躇いもなく歩いている前の人はやっぱり琳ではないのか?じゃないと、可笑しいだろ。どんだけ環境適応力高いんだよ。そんな事を考えながらやっとのことで追いついて彼女の肩に飛び掛かる。


 「あら、この子ついて来ちゃったのね。どうしようかしら?うちに来る?」


 ……え?琳の家?ってことは一緒にご飯食べて一緒に寝て一緒にお風呂入って。グヘ…グへへへへへ……。


 「そんなに尻尾ぶんぶん振って……かわいい子」


 うわ……勝手に尻尾が動いてる!何か物凄く恥ずいんですけど……。本能丸出しなんですけど……。でも、これでこれからは琳と一緒に……。だめだ、にやけが抑えられねえ。尻尾も止まらねえーー。






 歩くこと10分と言っても俺は琳に抱かれていたから歩いていないが、彼女は馬鹿でかいお屋敷の前で立ち止まる。

  

 「おかえりなさいませ、リンデ様」


 ここが彼女の家なのか?それはひどく大きくお金持ちとしか思えない。俺も今日からここで暮らせるのか?……ちょっとこの世界に来て良かったんじゃないかと感じてしまった。……てあれ?



 リン…デ様?この一言で彼女が琳ではないことがほぼ確定したと言えるだろう。数秒前とは打って変わって少し……いや、だいぶ複雑な心境だ。琳と姿は全く一緒なのに中身は全く別物。俺と彼女の思い出なんてもうこの世界には存在しない。そう思うだけでひどく心が痛む。


 でも、そんな心境などお構いなしに時は進んでいく。


 「今日もお勤めご苦労様、アルト」

 「お褒め頂き光栄でございます、リンデ様。どうぞ中へ」


 琳……じゃなかった、リンデにアルトと呼ばれた青年は涼しげな顔に体つきも良くいかにもモテそうだった。リンデが門をくぐるとアルトはすぐに門を閉めその前に仁王立ちしていた。それを見るにまさに門番なのだろう。



 「お帰りなさいませ、リンデ様」

 「あら、こんな所で待っていなくても良かったのに、チル」


 チルと呼ばれた女性は見るからにメイドだろう。だってメイド服を着ているのだから。しかも、顔は可愛い、容姿はスタイル抜群。更に、琳改めリンデは持ち合わせていない巨乳要素も含んでいる。それに、メイドと言うことは家事は得意なのだろうか?家庭的という結婚には外せないスキルも持ち合わせている。後は、性格が良ければ完璧だろう。  


 「それじゃあ、自分の部屋に戻るからご飯の時は呼んでちょうだい」

 「かしこまりました、リンデ様」

 「それからこの子の夕食もお願いして良いかしら?」

 「はい、勿論に御座います」


 とりあえず、今日はリンデのお陰で俺も飯にありつけそうだ。

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