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瞳
つかさの車まで15メートルくらい行ったところで、車内のつかさと目が合った。と瞬間的にスミレは目を逸らしてしまった。
「今、目が合ったでしょ!車に乗って〜」
スマホでつかさがスミレに伝える。
スミレは、頷き、つかさの車に乗り込んだ。
運転席のつかさと助手席の自分の距離が思ったより近くに感じ、何やらドキドキする。
でも何かが違う!スミレは運転するつかさの横顔をそっと見た。つかさは柔らかい表情をしているが、瞳だけはいつも何かを狙っているような鋭さをどこかに湛えていた。運転しているせいでそんな風に瞳の鋭さを感じたのだろうか、柔和なつかさのイメージがどこか一変し、緊張を改めたその瞬間、
「寝起きなんよね〜」
のんびりしたつかさの声が車内に響いた。