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営業マンとこけし1

「スミレ？俺だけど。何してたの～？俺は今、お客さんとこから事務所へ戻るところなの～」

つかさは車での移動中もよく電話してきた。もちろんスピーカー機能を使っている。つかさの話し方はよく「～」が入るやんわり口調だ。

「お疲れ様。ボーっとしてたよ。」

スミレは、会社からまっすぐに自宅に戻るとすぐさま簡単な夕食を作って食べ、19時には入浴まで済ませてくつろいでいることがほどんどだった。

「またボーっとしてたの？！あなたいつもボーっとしてるじゃない！今日もお客さんと話しこんじゃったわ。ねぇ聞いて！また1件決まりそうなの～」

スミレは、いつも楽しそうに活き活きと仕事の話をするつかさが眩しかった。とてもじゃないが、自分が会社でこけしみたいに座っていることなど話せそうもなかったので、スミレは自分の仕事の状況については特に話すことはなかった。