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闇の中

一昨年の夏、スミレは失恋をした。何度目の失恋なのだろう、もう数えたくもない。人生また転んだのか。スミレはしばらく転んだまま、無理に起き上がることをしないと決め、流されるままに時を過ごした。仕事は相変わらずこけしでもよかった。

木枯らしが吹き始め、イチョウの葉が舗道に舞い散り始めた頃のある夜、スミレの心は深い闇と寂しさの渦に完全に飲まれていた。そんな中、とあるチャットサイトで武藤つかさという歳下の男性と知り合った。スミレが先日思い出したのは彼のことである。

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