ラストファミリー
「ほっほっほ、見つかったか。
いや、やっと来たか。」
こちらを睨みつけながら唸るそれに返答した。
ううぅぅ…‼︎
「ほっほっほ、そんなに唸り声をあげてどうした?
それより、この前わしがやったプレゼントはどうじゃったか?気に入ったか?」
うぅぅ…‼︎がああぁあっぁ‼︎
「ほっほっほ、そうかそう
おっと、危ないじゃないか。」
飛びかかって来たところを躱す。
ぐるぅ!があぁっ‼︎
「まあ、まあ、落ち着けよ。どうどう。
それで今度はここに何しに来たんだ?」
うぁああ‼︎ぐっぅ‼︎
「なんだ、そんなことか。」
うああああああ‼︎
「何を言っておるか分からんな。」
拳を鳩尾にお見舞いした。
ガアッ⁉︎
「両方の意味で分からんな。
それよりも、おぬし、これを見てみろ。」
殴られた鳩尾を抑えながらこちらを睨むそれに手鏡を見せた。
案の定それは、すぐさまにこちらの、『手鏡』に向かって飛びかかって来た。
が、これも躱す。
しかし、油断をしていたせいか、ギリギリのところで手鏡を弾かれた。
「っ!痛いのお。しかし、意外な反応、いや、予想の範囲内の反応だな。」
それは、こちらの話を聞かずに、地面に弾かれた手鏡に夢中で、手鏡に向かってかじりついたり、殴りかかったりしていた。
そうしているうちに手鏡は、脆くも割れ散った。
うおおああああ!!
「はっはっは。これはこれは。思わず笑いがこぼれるな。しっかし、効力は抜群だな。こいつはいい。」
それは、割れた鏡で血が流しながら、なおも叫び声、その咆哮を大きくしていった。
うああああああああああ!!!
「おー、うるさいのお。仕方ない。
ほれ、お前さんの探しものはそこじゃ。」
親切にも、その咆哮を遮るように指を指した。
わざわざ自分で指を切って、血を指した方向に勢い良く向ける。
当然、指から滴る血は勢いに流され、指した方向に飛ぶ。
だが、そのおかげで咆哮をあげていたそれが、指した方向に意識が向かった。
「お前はこっちだ。」
川を指さす。
つられてそれも川を覗き込む。
そして、それは再び咆哮をあげる。
だが、今度はこっちに向かってではなく、川に映る自分にだった。
その後、それは、川の水をもの凄い勢いですくいあげていた。
いつしか、水しぶきの音は止んで、今度は肉が剥げるような生々しい音がした。
そして、血の匂いが辺りを充満していく。
なおも音は続き、咀嚼する音までも。
それにより血の匂いも。
「哀れよのう。まさか、ここまでとは。
いやはや、お前もお前の母も残念だったな。」
だんだんとその音も間隔が長くなり、そして最後には、それが微かにあげた最後の叫び声が聞こえた。
あぁっ…!あ…!うぅあぁっ…‼︎……
「本当に残念だ。だが、目的は達せられた。これでお前も役にたてるのだ。いいだろう?」
さらに肉が剥げる音をたて、
最後に俺は後ろ背に自分の子供に、
「すまなかった。許されないのは分かってる。それでも、巻き込んですまなかった。」と言い残し、少し重くなった袋を背負い、最愛だった妻子を残し、自分が生まれ育った村を後にした。
「さあ、これからだ。」
約1ヶ月ぶりの更新です。
遅れてすみません。
最近だんだんと忙しくなってきましたが、そろそろ安定しそうです。
おそらく今後の更新は木〜日のどこかになると思いますが、ほとんどは私のやる気です。
出来るだけがんばります。
今回は主人公視点ではございません。
前書きに書こうかと思いましたが、ネタバレになるので、やめました。
次回更新は贈り物の更新後になります。
ここまで読んでいただきありがとうございます。それとお待たせして申し訳ありませんでした。
それでは
次回で、最終回です。