精霊
「なにそれ!?ひどいじゃないですか!」
「でも、ああでもされなかったら僕は一生、スキルも使えず奴隷のように働かされてたと思うので結果オーライかなって。」
「でも、背中切りつけて囮にするって完全に犯罪ですよ!いくら大企業の息子でも許されないことですよ!」
"あいつ、黒い噂あったけどこりゃマジだな。"
"通報しました"
"【速報】世界的魔導具メーカーの株価大暴落"
モンスターに襲われていた女性を助けたら配信者だった。俺はここまで戻ってこれた身の上話を全てした。うちの両親と、僕のことを囮にして逃げた幼馴染の大河の両親はとても仲がよく、その関係で僕たちもパーティーを組んでいたがイレギュラーボスのオロチの囮にされた話をして、死んだ結果スキルが発動できるという話をしたらこの感じになった。
「それにしてもすごいですね!そのスキル!一回死なないと発動できないけど、スキルだけじゃなくて魔法とか未知の魔導具が扱えるようになるなんてギフトボックスみたいですね!」
「言い得て妙ですね。僕も驚きですよ。まあおかげでイレギュラーボスも倒せたのでよかったなとは思いますよ。まあもう二度と死にたくはないですけど。」
「そりゃそうですよ!誰でも死ぬのは怖いですから!」
"注意:オロチはSランク最強格のモンスターてす"
"完全にスキルボックス系の最上位というか上位互換だろ"
"まともな感性でよかったw"
「あ、そういえば瑠衣さんは片手剣と魔法での戦闘が得意でしたよね?さっき剣の方壊れてましたし、何かあげましょうか?」
「え!?いやいや、大丈夫ですよ!確かに痛い出費だなとは思いますけど汎用ものですし!」
「でも瑠衣さんが死んじゃったらファンの皆さんも悲しんじゃうだろうし、この際ですから装備のアップグレードをしちゃいましょう!」
"ここは甘えよう?"
"俺たち瑠衣ちゃんに死んでほしくない!"
「じゃ、じゃあ、皆もこう言ってることですし、お、お願いします。」
「わかりました。·······うーん。瑠衣さんのキャラ的に精霊武具系が良さそうですよねー·····うーん·········。」
「せ、精霊!?い、いるんですか!?」
"精霊って都市伝説で語られるやつ?"
"100階層以上ある超巨大ダンジョンの深層に出てくる化け物って噂だけど"
「さあ?わかりませんよ。このストレージの中にあるんですからいるんじゃないですか?」
僕は平静を装いつつ答える。まあ実際いると思う。オロチを倒したあとからなんとなく大気のなかに何かいるなって感じがするし、この精霊武具に近いオーラを感じるから。
「あ、これなんてどうです?光と風の精霊が宿ってる剣です!」
「うぇぇぇ!?なんですかそのとんでも武器は!?」
「えーと、あまりに強すぎると逆に力に振り回されそうかなと思ったので比較的扱いやすい範囲で、瑠衣さんの助けになるようなものを選んでみました!」
"精霊武具ってそういうことか"
"というか精霊2体って強すぎね!?"
"特殊効果が2つ付いてる武器でもヤバいのに精霊が2体も宿ってるとかぶっ壊れすぎだろ。"
「とりあえず精霊と契約しちゃいましょうか!」
「え、ちょ、ちょっと!」
僕は精霊武具を取り出し瑠衣さんに渡す。瑠衣さんはプルプルと震えている。
「大丈夫ですよ。精霊は心の綺麗な人が好きです。瑠衣さんならきっと精霊と友達になれますよ。」
「と、友達!?」
「それじゃあいきますよ!【剣に宿りし精霊たちよ。今現界し、新たな契約を】。」
僕が簡単な呪文を唱えると瑠衣さんの剣が光りだした。そこから2つの玉が飛び出す。1つは黄緑色、もう一つは黄色。2つの光は徐々に人の形になっていく。そして2体の精霊は瑠衣さんくらいの見た目の高校生くらいの見た目で現れた。
『君が新しい主かい?うん!いいね!元気いっぱいって感じ!レイはどう?』
『···················。』
瑠衣さんと同じくテンションの高そうな風の精霊とコクリと頷く寡黙な光の精霊。でも発せられる魔力は尋常ではない。
「あ、え、あ、っと」
「瑠衣さん、彼女たちの手を握ってください。そうすれば契約できます。」
手を出した2体の精霊。僕は瑠衣さんを促す。
「こ、こんな私ですが、よ、よろしく、お願いします。」
『うん!よろしく!』
『··············。』
こうして瑠衣さんは2体の精霊と契約した。




