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ゴーストタウン

少し異世界系の要素も入っていると思います。

 目がさめると、そこは青空に包まれた街だった。

自分が誰なのか、全く見当がつかない。でもわかるのは、この街よりもっと荒廃しているっていうことと、

閉鎖的で死にたくなるような街に居たということだった。

しばらく考えを巡らせてみたところ、ぼくはどうやら高台の上で気絶(?)をしているということを

自覚した。僕は重い腰を上げて街を散策することにした。

 商店街はまるで縁日の次の日のように静まり返っていた。太陽がアスファルトに反射している。ああ、なんで僕はサングラスをする人じゃなかったんだろう。ぼくは自分の境遇を恨んだ。

 駅はなかった。学校もなかった。いまのところだけど、人も居ない。

子供の頃に読んだ漫画で主人公が家出をして誰も居ない街でひとり寂しい思いをする的な話を読んだことがあったと思う。その街は、生活感はあるけど人が居ないっていうだけであってこの街はそもそも生活感の欠片もない。なぜかありそうだけどない。ゴーストタウンという表現がふさわしいのだろうか。

ぼくは思考を巡らせながら死の街をさまよった。


 暫く行くとその昔、観光客向けに作られたであろうロードマップがあった。

そこには「山ノ岳町(やまのたけちょう)」と書かれていた。そびえ立つ山々に囲まれたこの「ゴーストタウン」にピッタリの名前でちょっとくすっと笑ってしまった。

 暫く歩くとちょっと前まで見かけていた選挙ポスターがあった。ポスターには恰幅の良い男のニカッと笑った顔の下に「持続可能なAI社会をー 大野りゅうじろう」と書かれていた。

 AIという響きが選挙ポスターに使われているところを、僕はあまり見たことがない。

本来だったらこの違和感だらけの町に恐怖を覚えてしまうとおもうけど、ぼくはなぜか恐怖はわかないし、

わくとしたら「親近感」だった。そしてそんな感情しかわ湧かない自分にも驚いていた。

 しばらく歩いていたら大きな宣伝看板のようなものがあった。そこには「AIと自然の融合、当町はExとの重点的会話を推奨しております 人との会話はもう遅い」と書かれていた。

 そこで僕は違和感に気が付き、無我夢中で走り出した。

走ると大きなアパートがあった。そのアパートの玄関に駆け込み片っ端から呼び鈴を鳴らしてみる。

すると扉が開いた。扉の横には305号室とプレートがある。

 「どうしたんです?」ドアを開けたのは少年だった。小学校中学年くらいの少年だ。


「…お姉ちゃん以外の人間と会話したの、3年ぶりだ」少年はぽつりと、そう呟いた。

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