プロローグ
背中から白い羽の生えた少女は逃げていた!草木を掻き分け、走る、走る、走る!!
ーーーけれども、羽の生えた大男が空から舞い降り、目の前に立ち塞がった。
少女が後退りし後ろを振り向くと、今度は羽の生えた女が冷たい眼差しを少女に向けていた。
「もう逃げられません。」
少女は俯き、ぎゅっと目を閉じると、涙がこぼれ落ちた。
ーーーーその時だった!
パンッ!と音が鳴り、突然紫色の光を纏った黒い稲妻が大男を襲った!!
「うわあぁぁっ!!」
空気中に紫色の光が舞い、バチバチッと音を鳴らしては消えていく。
倒れた大男を見るや否や、女が少女を捕まえようと手を伸ばしたーーー
ビリビリビリビリ!!!
またもや黒い稲妻が大地を駆け抜け、そのまま女を感電させた!
女が地面に倒れると少女は何が起きたのか分からず困惑した。
そこに、声が響いた。
「大丈夫か?」
少女が振り向くと、目つきの悪い青年が離れた場所に立っていた。どんどん近づいて来る。
「天族同士が喧嘩なんて、珍しいな。」
倒れていた羽の生えた男と女を見ながら、青年は続ける。
「お前随分汚いけど、もしかして誘拐されそうになってたんじゃないのか? 家は?? 帰る所はあるのか?」
少女は自分の着ていた白いワンピースに泥や葉っぱがついていることに気がついた。腕も足も汚れている・・・恐らく顔も。
少女は恥ずかしくなり下を向いていたが、しばらくすると、困った顔をしてゆっくりと顔を上げた。
青年と目が合った。
満月の様な、金色の瞳だった。
少女はしばらくの間、青年を見つめていた。先に口を開いたのは青年だった。
「何も言わないって事は、行く宛は無いってことか・・・しょうがねーから俺ん家に来るか?」
少女は黒目がちの大きな瞳を見開いたまま、コクンとうなずいた。
プロローグ真面目ですが、ギャグ強めのハイファンタジーです。投稿は夕方〜夜にかけて行うつもりです。
面白そう!興味ある!という方は是非読んでみてください。