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三話‐4

群衆の中から一人の少女が前に出てきた、手には小鳥が止まっている。

「この子を飼っているんだけど、羽が悪くて飛べないの、空を飛べるようにできる?」

ルクトは頷くと、また囁いた、小鳥は火花を散らしながら宙を舞った。龍にはならず火の玉になっている、その火の玉は翼を広げ一直線に空へと上がった。雲の隙間から花びらが舞い落ちてきた。

「龍は火、水、土と様々な姿をしていると言われている」

老婆が僕たちのそばに寄ってきてそう言いだした、黒いツバの大きい帽子を被り、黒いマントを羽織っているが、帽子から垂れる髪は白く杖を握る手はしわくちゃだが、背筋がピンとしていた

「アンタはなんの龍だったの、こんな力見たことないよ」

その言葉にびっくりした、僕らよりも詳しい人がいたのか。ルクトは首を横に振った

「まあたまに冥天の龍が居ると聞く、幻だけどね、そこらなんだろうね」

老婆はそう言うと僕に帽子を渡してきた

「お金がいるんだろ?」

僕は何からどれから言えばいいか分からづ焦っていると、老婆は群衆の中に消えた。恐る恐るその帽子を群衆に向けると、おじさんが喜びながら金貨を入れた、それに続き次々と宝石が放り込まれる。一瞬で高額になり僕は興奮してルクトを見ると、薄暗い表情をしていた。

「後でさっきの女性を探そう」

その一言だけ言って黙ってしまった、僕は溢れる金銀財宝を麻袋にしまうのにあせくせとしていた。そこに甲高い笛音が響き渡った、警兵だ。

「お前たち、龍を作ってるとは本当か?」

「いえ厳密には作ると言うより再生を促してて」

「龍が他の国や街でどう言った扱いか知ってるのか、害獣をこの街から出すわけにはいかん、即刻処罰する!」

警兵は言うが早いから腰元から銃を抜き取った、銃口を僕らに向け発射した。運良く下手な人だったのか一発は鞄をかすねたが僕らに当たる事なく逃げ出せた、後ろから警兵の停止命令が聞こえるが止まってられない

 街の出口が見えた時1人の少女が走ってきた、先程の小鳥の飼い主だ。

「道案内する!こっちよ!」

彼女に続き正門では無く小道を駆け巡った先にある用水路の側にある鉄門にたどり着いた

「貴方にお礼が言いたくて」

「危険なのにわざわざごめんね」

「いえ」

ルクトが彼女の肩を掴み瞳を覗き込んだ

「この街ではペットは飼わないと聞いたが、君は何であの小鳥を飼っていたんだ」

「あの子は私にそっくりなんです」

少女は片目を隠していた髪をめくった、その目は白濁していてとても見えそうにない。そっと髪を戻すと少しはにかんでこちらを見上げた

「貴方達があの子を空に飛べる様にしてくれて、とても嬉しかった、私でも、いつか自由になれるんだって、思えて」

そう言ってこうべを下げた、髪が流れ落ち首筋から現れたのは奴隷の紋章だった。その背中には幾度も鞭を打ちつけられた跡がある

「ありがとう、ありがとう、言い切れない、ありがとうございます」

彼女は涙を蓄え、僕たちを押した。その先は崖になっていた

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