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12‐4

広間の奥のステンドガラスの手前に魔王と黒龍が居た、魔王は左腕を切り落とされていた、黒龍は火を噴いた後なのか口から煙が出ている

「お前たち、お前たちなのか、俺の子分たちをそそのかしたのは。魔族は俺の子分なんだぞ、人間に媚び売るために居るんじゃないんだぞ」

魔王は肩で息をしながら震えていた、それは今にも泣きそうな子供の様だった

「お前たちのせいで、全部お前たちのせいだ!」

魔王が両手を地面に向けると地面が揺れ、床が割れ宙に浮いた、その床材たちは僕らに降り注いだ、ルクトが静かに呼吸をし優しく強い風が吹きそれらは壁にぶつかった、リッカー達が前に出て槍を構えた、魔王はそれを見て息をのんだ

「お前たちまで俺に逆らうのか」

「魔王様!私たちは学びました!共存することも考えてみていいと思います!」

「浅はかな、俺はすべてをこいつらに奪われたんだぞ!」

「奪いたくて奪ったわけではありません!」

僕も前に出た、リッカーの背中に手を置きリッカーの意見に同意する意思を伝えた

「僕も両親を奪われたように思った、だけど君は安心できる居場所が欲しかったんだよね、僕たちはそんな居場所を作ってあげたいんだ」

魔王は息を強く吸い、勢いをつけて叫んだ。その大声は窓を割り天井がミシミシと鳴り崩れ落ちそうだ

「奪っておいて与える?俺をおもちゃか何かだと思っているのか!」

「思っていない!君は強い力を持っているだけの小さな子供だ!守るべき存在なんだ!」

その時バニラ姫が奇声を上げた、そちらを見るとマクビダン王の顔色が先ほどと違い青白くなっている、胸の動きも見受けられない、僕は体が冷たくなり芯が熱く油の混じったような汗が止まらかった

「死なないで!マクビダン様!」

バニラ姫の悲痛な叫びが僕の胸を締め付けた、息がつっかえうまく呼吸できていないのか僕は激しく息の出し入れをした、あの日僕にスコーンを差し出しているマクビダン王の笑顔が頭に浮かんで、僕は知らない間に涙が流れていた

「行かないで愛おしい人」

バニラ姫のささやきが聞こえるほどその場は静かだった、バニラ姫は静かに弓を構え、そのきらびやかに光る矢をマクビダン王に打った。胸に突き刺さったその矢は砕けた星のように消え、マクビダン王の息は吹きかえることなかった

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