12‐3
僕は膝をつき涙が流れるのを堪えた、喉の奥からこみ上げる嗚咽を手で押し込んだ、そして立ち上がり広間へ行くことを伝えるとリッカー達も付いて来てくれる事になった
「でも魔王と対峙していいのかい?」
「魔王の意思を変えられるのならお手伝いします」
リッカーは胸に手を置き意志の強さを象徴した、後ろを見るとフィアちゃんが棘の付いたグローブを付けていた、ハインも杖を持っている、カインはハンマーを首に掛け皆準備が整っていた。窓の外を見るとバニラ姫も龍から降りていた、バニラ姫も覚悟を決めた顔をしている
「次はみんなで行きましょう、一人ではありません」
バニラ姫の言葉にカインとルクトが頷き他のメンバーは小首をかしげた、僕はリッカーに道案内を任せ走り抜けていた、途中兵がオークに襲われていたのでカインのハンマーでオークの頭を打ち付け倒れたところを見届け次の階層に行き、傷が深く息も絶え絶えの兵がいてバニラ姫が矢を打って回復したのをみてまた走った。ついに応接間の近くに来たが、例のダークエルフのメイドたちが待ち構えていた
「この先へは行かせません」
扉の奥で激しい音が聞こえる、僕たちは引き返す選択はなくメイドたちを倒す思いで居た。ルクトが地面に手を置いた、静かなその動作が訳が分からず皆ぽかんとした、その時地面がかすかに揺れだんだんとその揺れが足に伝わってきていた。すると廊下がひび割れ、ヒビの中から植物の根がはい出てきた、その根は目も留まらぬ速さでメイドたちを捕まえた、手の空いているメイトはナイフで根を切ろうとするが次ぐから次に出てくるその根が身動きを封じてゆく
「そんなことできたんかい」
カインの一言に僕は力強く頷いた
「まだ未知数なんだよ」
ルクトが頭を掻きながら徐々に広がる根に乗り扉の前に来た、その時僕らは気付いた、音が聞こえない。嫌な予感がし突進するように扉を開けた、重く軋んだその扉はゆっくりと開いた。扉の隙間から煙が川のように流れ出た、その煙の向こうでマクビダン王が倒れていた、僕らは扉の隙間に体をねじ込みマクビダン王の所に走った
「なんだ、もう戻ってきてしまったのかい」
マクビダン王は血まみれになりながら微笑んでいた、僕は敵である魔王を探した




