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12-2

黒龍は煙を巻き上げて僕たちの前に現れた、矢が何本か刺さっている、もう僕らと一緒に居た時の顔つきではない。下から兵たちの声が聞こえた、交戦しているのだろう、僕は龍の目を見てつばを飲み込んだ。火を噴く準備をしているからだ、かつては水の龍だったのにこんなにも変わるのか、いつかの黒龍のように瘴気をまとった炎を吹くのか。その時黒龍は何かに気付き反対方向を見たかと思うとそちらに飛んで行った

「見てください、マクビダン王です」

バニラ姫の指先を見ると、城の広間の窓からマクビダン王が何者かと戦っている様子がうかがえた。僕らは急いで岩の龍からロープを出し出窓に伝って降りた、出窓からゴブリンが現れ槍で突いてきたが僕は剣でその首を落とし、廊下にはびこっているゴブリン達にも剣を振るった、後から来たルクトが風を起こしゴブリン達は壁に打ち付けられ気絶したが、僕も吹き飛ばされてしまった

「ルクト!狭い中でそれは使うな!」

カインがまたルクトの背中を殴った、ルクトも自分では思わぬ威力に驚いたようで頷いていた。僕らの後をフィアちゃんとハインも着いてきていた

「二人は来ちゃだめだ!龍で逃げて」

僕が窓を指さすと二人は首を横に振った『共に行く』とフィアちゃんは手話で伝えハインも頷いている、僕らは互いを見て仕方ないと諦めた様に苦笑いをした。廊下を走り広間へ向かう、途中兵が指を指しあちらだと叫んでいる、階段が見えて近づくと螺旋階段であることが分かった。躓かないように壁に手を当てながら駆け下りると途中リザードマンが居た、槍を持っているので剣を構えた

「トウリさん?」

リザードマンが喋った、その声は聞き覚えがあり僕は指を宙で泳がせながら記憶を巡った

「リッカー?」

「はい!おひさしゅうぶりです!」

あまりにも流暢に言葉を喋るので僕は驚いて事情を聞くと、青空教室で勉強をしたリッカー達は勉強ができるとの事で城で国王の手伝いをするために呼ばれたとの事だった、城では専門の教師も付き毎日仕事と勉強をしていたらしい。僕は自分の望みが白昼夢でないと分かり涙が零れた、リッカーに何度もお礼を言った

「何故トウリさんが泣くのですか、僕たちは野生児でなく手に仕事をつけ生活できています、感謝が尽きません」

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