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三話‐3

僕たちは街に案内されると、例の母親がスピーカーの様に次々奥様方に宣伝していく。少年も興奮気味に近くにいた子供たちに話しかけ、あっという間に人集りが出来た。

「えーそんなに沢山は出来ませんがよろしくお願いします」

僕が声を張り上げると、一人の少女がぐったりとした小さな犬を抱えて歩いてきた。

「この子馬車に轢かれて死んじゃったの、生き返る?」

ルクトは犬をまじまじと見ると、少女の頭をぽんぽんと叩いた

「生き返るのとはちょっと違うんだけどね、できると思うよ」

犬を預かり受けると、ルクトはまた唄を歌い犬を宙に放り投げた。すると犬の体から植物の根が生え、空に向かい伸びると枯れてその中から新たに芽が出てきて一気に大輪の花が咲き、花の中から青色の龍が飛び出してきて、花が四散した。

「好きなところに行きな」

ルクトがそう言うと、龍は少女の周りを回ると空へと飛んで行った。それを見た野次馬が一斉にどよめいた。僕は刺されるんじゃないかと戦慄したが、よく見ると皆笑顔だ。

「あの、ここで龍を出すのは大丈夫なんですか?」

僕は近くにいた街人に話しかけると、街人は驚いた顔をしていた

「あれ龍っていうのかい!綺麗だねぇ!」

これには逆に僕達のほうが驚いた、こんな世界もあるのか。

「ねえこの子はできる?」

群衆の中から一人の少女が生きたネズミを掴んで渡してきた、ルクトはネズミをまじまじと見ると首を横に振った

「この子はだめだ、龍にはならない」

「出来ないのもあるんだねえ」

少女は肩をすくめるとその場でネズミを絞めた、僕たちが驚くと、少女は小笑してその場を後にした。唖然としていると次々と小動物を突き出されてきた、僕は慌てた。

「あの!出来ないからと言って動物を殺すのはやめて下さい!僕たちは望んでいません!」

一瞬群衆がどよめいた

「この街では生き物は全て食べ物だからね、殺さないなんて考えもしないよ」

一人の老人が僕たちに投げかけてきた、僕は周りを見渡しながら伝えなければと思った

「動物は尊い生き物です、無下にせず大事にしてください」

ルクトが大きく腕を広げ群衆に向かった

「大事にしてない動物は先程の様に龍になりません」

群衆は様々な表情をしているが、ところどころ納得しているようだった。

「ねえそれ本当?」

小さな声でルクトに確認してみるが、ルクトは肩をすくめた

「知らない」

なんて頼りなく言う

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