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九-11

ミミちゃんが倒れると同時に僕は剣を深く龍に刺し、地面に固定させた

「ミミちゃん!」

皆で駆け寄り、お婆さんが素早く傷を縫った

「大丈夫だからね」

バニラ姫が弓を構え放つと、縫ったからか傷が綺麗になおり少し跡が見える、しかし意識が戻らない

「なんで!なんで!」

うさぎ耳の青年が龍の頭を潰すと、龍の動きは完全に止まった、お婆さんがそれを見てから何か薬をミミちゃんに飲ませた

「毒でも無いね、血が出すぎて死にかけてる」

「血?血?血ってどうやって分けたら良いの!」

「今の技術で他人から血を分ける事は出来ない、栄養を与えて自分で血を作るのを待つしかないよ」

「死んじゃわない?大丈夫?」

「まだ幼いから死ぬね、人間ならだけど、獣人の体の構造までは知らないよ」

お婆さんがそう言うとミミちゃんを家屋へ運んだ、僕らもそれに続く

「ミミちゃん死なないでー生きてーわーん」

僕がボロボロと泣いていると、ルクトが小さな電気を流してきた

「痛い!」

「トウリはしっかりしてないとダメだよ」

「でも涙が止まらないよ」

そこにうさぎ耳の青年が僕の頭を小突いた

「俺だって、これ以上仲間を失いたくない」

「君たちはまだ生まれたばかりなのに、こんなのあんまりだよ」

僕の言葉にうさぎ耳の青年が俯いた

「俺たちはなんの為に作られたんだ、人間を殺す為の使い捨てか」

「そんな事無いよーそんな事言わないで」

僕は涙が止まらずわんわんと泣いた、うさぎ耳の青年は頭を片手で押さえている、そこで僕はお婆さんに摘まれた

「喚くんなら出ていけ」

「あーんルクトー」

ルクトに助けを求めると、ルクトはミミちゃんに近付いていた、そして手をミミちゃんの頭につけ何か囁く様な歌のような事を言った

「ルクト?なにしたの?」

「もう事切れている、あの世に送ってやった」

「・・・殺したの?」

「もう死んでいるよ、魂を切り離しただけだ」

そこにうさぎ耳の青年がルクトの胸元を掴みあげた

「なんで貴様が決める、まだ生きられたかもしれないのに」

「見えるんだよ、見たんだ」

うさぎ耳の青年が地面にルクトを叩きつけた、そして涙が溢れ、次第に嗚咽していった

「俺たちの存在なんてこんなもんさ、ただ人間を殺す為に生まれた人形だ」

誰に話すでもなく両手で顔を覆っている

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