九‐7
カインは頭を押さえその場にうずくまった
「いったいこんなところで何をしているんだい、黒龍はどうなったんだ、様子を見に来たらこんな有様だよ」
「話が長くなるのですが」
「おばあちゃんの知り合いなの?」
うさぎ耳の青年はお婆ちゃんに近づくと肩にかけたカーディガンを直してあげていた
「え?二人知り合いなの?」
僕は驚いた、何か事情があるようで目的の街へ同行する事になった。町に着くと子供の獣人たちが出迎えてくれたが、僕らが人間だと分かるとうさぎ耳の青年とお婆さんの後ろに隠れた
「あたしはここで子供たちを子守してるんだよ」
「婆ちゃんが?」
「話が分かると良い子たちなんだよ」
そこにうさぎ耳の青年が眼帯をずらした、その下には義眼が入っていた
「この傷もおばあちゃんが直してくれた、命の恩人だ。それに言語も教えてくれている」
青年の後ろに隠れていた虎の顔をした少女が声を掛けてきた
「お兄ちゃんたちは何しにここに来たの?」
「国王から様子を見るように言われたんだけど、もし不足していたら食料もあるよ」
「あんたたちは魔物を狩るように言われたのかい」
僕はお婆さんからのその質問に頷くのがためらわれたが、事情を話し僕の意見も伝えた
「魔物の楽園?」
「正確には魔物が安全に生活できる国かな」
ハンクの血が混じった幼い獣人が僕に飛び乗ってきた
「その国さんせーい、ミミもおうえんするー」
「どこにそんな土地があるんだい」
「それはこれから探さないといけないけど、まずは同意意見をたくさん集めないと」
「マクビダン王は何て言ってるんだい」
「それは・・・」
カインがハンマーを磨きながらこちらを見た
「勝手に国を作れば国王が許さないと思うぞ、下手したら戦争になる」
バニラ姫が僕の裾を引っ張ってきた
「私の国ならば私の領地をお貸しすることできます」
「氷の国は魔物が耐えられるか分からないから、実際遺体も見た」
「では姉さんから知恵を伺いますか、姉さんはどの生き物よりも長生きして言語を話すほどになった龍です」
「確かに長いものから知恵を得るのも良いね、最果てのエルフたちは何て言うかな」
そんなことを僕たちが思案しているとあることに気付いた、魔物たちがせっせと武器を作っている




