二話‐3
先程の競売所に着いた、あの龍はもう買い手が決まったのか、天井から大きな針で吊り上げられていた。あの透明な布は不思議な物で、中の空気がない様に見える。
「あの龍って死んでるのかな」
「さあな」
ルクトは龍に向かい歩き出した
「あーもうセリは終わったよ、帰った帰った」
龍を眺めていた男がこちらに歩いて来た、その男をルクトは押し退けた
「おい!欲しければ次のセリに来れば良いだろう!」
彼はそんな言葉が聞こえ無いのか、前を遮った男の顔に飛び乗り、そのまま龍へと飛んでいった、手をかざすと周りから水が溢れ出し、その水を投げつける様に振りかざした。水は半円を描き透明な布にあたり、布を切り裂いた。布ごと龍が落ちる瞬間、中から龍が飛び出し、束の間こちらを見ると出口に向かい扉をぶち破り逃げていった。
「逃げるぞ」
ルクトに手を引かれ、僕達は一目散に逃げ出した。てっきりその場に居た男達に何かするのかと思ったと告げると、そこまでの力は無いと空笑いしていた。
途中兵達にも追われ、まさに死に物狂いで走った、門の入り口に乗ってきた龍が降り立ち。その龍に飛び乗り難を逃れた。
「ところでルクトもあの肉を食べたのか?」
「ん?食べたよ?」
「よく平気だね!」
「君は繊細だね」
ルクトは笑いを堪えながらそう伝えると、思う存分に大笑いした。彼は僕たちの村に馴染んでいないのではなく、様々なことに器よう深いのだろう
彼はいつから僕らの村にいたっけ?