八‐2
「やりづらい!魔物と言えど幼い生き物を殺すのは抵抗がある」
僕が大剣を地面に刺すとまたミスリちゃんが僕にぼそぼそと恨み言を語りかけてきていた、僕は幻だと言い聞かせ、龍に乗り帰路に着いた
西の国では人々が混乱していた、隣の街に行ったとき魔物を見ただとか、近くの国に輸出している最中魔物に襲われたとかそんな話で持ちきりだった。僕らは宮殿に赴き国王と対面することになった
「よく戻ってきたトウリ一行、して客人が居るとの事だが」
バニラ姫が僕の背中に隠れながら礼をした
「北の国の第三皇女バニラと申します、この度は視察を送っていただき感謝申し上げます」
心なしか声が震えている、こんな姫を見るのは初めてだった
(マクビダン王がこんなにイケメンなんて聞いてない~)
小声で僕の脇を摘まんできた、イケメンとは北の国の独自の言葉なのか初めて聞く言葉で僕もしどろもどろになってしまった
「北の国とは国交がある、今以上に友好な関係を結びたいと思っている、この城では自由にしてくれ」
マクビダン王の提案で僕らはテラスでお茶をすることになった
「それで今国中から見たことのない生き物の発見が相次ぎ被害も受けているようだ、トウリ達は何か聞いているか?」
僕たちは北の国でのことを報告した
「ある意味僕のせいです」
「うーんだが魔物復活を企んだ輩のせいであるな、その魔王を孕んだ冥の龍はどこに行ったのか分からないんだな」
「はい、ものすごい速さで居なくなってしまったので見失いました」
「では冥の龍が見つかるまでこの国に居たらいい、僕が各国に視察を送ろう」
「しかし僕のせいなのに、僕が見つけ次第退治しなくては」
「いや、相手は魔王だ、何が起きるか分からん、トウリはここで修行してもらう、してその赤子は?」
バニラ姫に抱かれた赤ちゃんを覗き込んだ
「エルフと思われます」
バニラ姫が赤面しながら赤ちゃんを持ち上げマクビダン王に見せた
「エルフ!この国の最果てに今も生きていると聞いている、数千年姿を見ていないが長生きする種族だから今も生きているかもしれん」
意外な言葉に驚愕した
「エルフは実在したんですか」
「ああ、おとぎ話かと思うかもしれんが今はびこっている魔物も幾千年前には当たり前にいた種族だ、いつの頃か冥の龍によりほとんどの魔物は消滅させられたと聞くが」




