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二話‐2

しばらく歩いて行くと男の家に着いた、と同時に僕のお腹が物凄い音を立てた。

「腹減ってるのか?」

僕は赤面し、小さく頷いた。昨日の残りだと言う鍋に火をつけ温めてくれた。久しぶりの食事だと浮かれ、目の前に皿が置かれた瞬間口いっぱいに頬張った、柔らかく筋張った肉が美味しく、しみじみと噛み締めた。

「なんで龍を競売に掛けているんだ」

ルクトが男に尋ねた

「そうだったな、この街では龍を食べる奴らが居るんだ」

「龍を食べる?食べれるのか?」

その質問に男がニヤリといやらしく笑った

「ゲテモノ食いさ」

男は一口大に切ったパンを出してくれた

「龍を食うと病に罹らないって噂があってね、それを信じて密輸する奴らが居るんだよ」

「密輸」

「そう、この街では龍を食うのはご法度でね、兵にバレないように皆んなこぞって求めるんだよ」

なるほどだから街に入る時から兵が多いのかと思った

「所詮噂だろ」

「そうだよ、だけどみんな信じてるんだ」

僕は龍を退治した事はあるが、害獣と思い退治していたので、それを食べるとは奇抜な考えだと思った、そんな事を聞きながらもおかわりを催促した

「ところでこれは何の肉なんだ?」

ルクトがスプーンに乗せた肉を指刺した

「アッハッハ!心配するな!それは龍じゃねぇ」

一瞬まさかと思い息を飲んだが、男の言葉に安堵した


「妖精だよ」


男が更に発した言葉に、僕の胃は粘度の高い粘膜で溢れるような気持ち悪さが込み上げて来た、妖精を食べたのか?

「お?なんだ?初めて食べるのか?」

「ああ、僕達の村では妖精は幸福をもたらすと言われていて触れる事さえ許されないんだ」

「なんだ妖精なんてそこいらにウジャウジャ居るのに高貴な扱いだな」

男はケラケラと笑うが、僕は胃が縮んできてそれどころじゃなかった、一刻もこの場所には居られないと走り出してしまった。外に飛び出し、人気の無い場所で戻してしまった。

どのくらいか呆然としていると、後ろにルクトが居る事に気づいた

「適当な事言ってお暇しといたよ」

ありがとうとしゃがれた声で上手く言えなかったが、ルクトは頷いた

「じゃあ行こうか」

そう言うと踵を返し何処かに歩き出した、僕は急いで後を追う

「どこに行くんだ?」

「復讐だよ」

「妖精の?」

「いやそれはどうでもいい」

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