六‐5
神輿は奇麗に装飾してあり、神々しさがあった
「雨神様が来た」
街の人が喜んでいた、雨神様というのかとしげしげと見ていた。神輿は広場の中央に鎮座し、曲と共に神輿が開いた
中には小さな龍が居た、全身傷だらけで小さく泣いている
「あれが神だって?」
ルクトとカインは鬼怒の表情をしている
そうこうすると曲に合わせ踊りながら街の人が龍に槍を刺した、すると龍は叫び、雨が降ってきた
「ありがとうございます雨神様!」
人だかりから歓喜が上がった、隣の街人に詳細を聞くと、この街は元々雨の降らない砂漠地帯だったらしいが。いつからか雨神様が現れこうして雨を降らせてくれているとの事だ、雨神様が死ねばどこからか新しい雨神様が現れ、また雨を降らせてくれるそうして代を重ねていったらしい
「トウリ逃げるぞ」
ルクトが突然袖を引っ張ってきた、僕は状況が呑み込めずおどおどしていると突然雷雨が激しくなり、街の人の頭上に雷が落ちた。一つや二つではない、上空を見ると複数の巨大な龍が上空を闊歩していた。
「あの龍の親だ」
カインが続けていい、逃げる様促してきた。僕は神輿に乗った龍を見ると、息も絶え絶えに鳴く龍が見えた。すると背中に背負っていた大剣ががたがたと震えだし、何事かと手に取ると突然僕ごと飛び上がり、神輿に向かって突進した。大剣の勢いで神輿は吹き飛び、上空の龍たちがこちらに向かって飛んでくるのが見えた
「ミスリちゃんお願い」
僕は大剣を撫で、小さな龍を繋いでいる手枷を切った。その時大剣が後ろ向きに飛び、僕は横転したがその瞬間渦巻いた水柱が龍を飲み込んだ。水柱の上から上空に龍は打ち上げられ、大きな龍に捕まえられ龍たちは踵を返した、後ろにルクトが立っているのに気付いた
「あれルクトがやったの?」
「ああ、早く逃げるぞ」
問題は解決したのでないかと思っていると、祭りの主催者らしき人がこちらを指さしていた。間違いなく何らかの罰が下るだろう
僕らは急いで宿に走り、荷物を持って街の外へ走った。途中石を投げられ、この街はまた砂漠に戻ると嘆く人までいた
龍に乗り暫く飛んでいると、先ほどの龍の群れに会った。
「お前たち、あの人間たちはまた同じことを繰り返す、ここより森の奥に行け」
ルクトが小高い山になった森を指さすと、一番大きな龍が首を下げ、そちらの方に向かって飛んで行った。その時また雨が降り小さな龍が僕らの上を旋回したとき、虹色に輝く鱗のようなものが落ちてきた
「お、やったな、龍の涙だ」
カインが覗き込み手を打った
「龍の涙?」
「漢方なんかにも使われたりするんだ、男は特に夜元気が出る」
「夜に元気になってどうするのさ、寝なきゃ」
僕の一言に二人が大笑いした、納得いかない




