六‐4
僕たちは暫く旅をし、野宿の時にカインが僕に剣術を教えてくれていた。カインも見様見真似だと揶揄していたが、僕には初めてのことで新鮮だった
「おい何か光が見えるぞ」
剣術の最中麻袋を縫い直していたルクトが遠くを指さした、森の向こうに確かに光が見える。僕らは急いで荷造りし龍に乗って空からそれを確かめた。確かに街があった、そこで宿が借りられそうか降りてみることになった
「なかなか大きな街だね」
ルクトが地図を開き場所を確認していた
「おそらくこの木みたいなマークが街なのかもしれない」
「おいおい地図の見方も知らずに持ってるのかよ、貸してみろ」
カインが得意げに地図を見ると、無言で返してきた
「さっぱりわからん」
ということはこの三人組は地図が分からないということになる。僕たちは街の人に宿の場所を聞きそこに向かった
「いらっしゃいませ、何名様ですか?」
「三人です、一部屋でお願いします」
「かしこまりました、水郷祭をご覧になられるんですか?」
「水郷祭?いえただの旅人で」
「そうなんですね、もしご興味がありましたらご案内いたします」
「興味があるのでまたその時になったら教えてください」
僕が食いつくとルクトに肘鉄を食らった
「遊びに来たんじゃないぞ」
「いいじゃん息抜き息抜き」
「では明日朝から水郷祭が始まるのでご連絡に伺いますね」
受付のお姉さんに部屋のカギをもらい、僕らは久しぶりのお風呂にベットを堪能した
翌朝、ドアのノックの音と共に目が覚めた。昨日のお姉さんがもうじき水郷祭が始まると教えてくれた、外をよく見ると日が高かった、だいぶ眠ったようだ
僕らは身支度をし広場まで出てみた、広場には人だかりができていて色んな出店があり賑わっていた
「見てルクト、見たことない氷菓子があるよ」
「本当だな、僕たちの村にはなかったものだな」
「なんだお前ら見たことないのか!」
カインが驚くので菓子の名前を聞くと言い渋っていた、カインも知らないようだ
「俺は婆さんが甘やかさなかったからよく知らないんだ、見たことはある」
口をとがらせるので可笑しくて、その氷菓子を三人分購入した。外はぱりぱりしているのに中は柔らかくて不思議だった
そうこうしていると音楽が鳴り、人だかりが台座に向かって道が開いていた。そこを巨大な神輿がゆっくり向かって来ていた。




