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五‐9

投げ飛ばされた僕は結末を見るべく黒龍から目を離さなかった、白竜が黒龍の首元を噛み剣がさらに深く刺さった、そこで僕は地面に落ち顔を上げまた見た。

白竜の口から水のような霧のようなものが出て辺りを覆った、そこに黒龍の悲鳴が渡り黒い光で前が見えなくなった、幻想なのか黒龍の中から一人の少女が現れた。

「ここはどこ?ママは?パパは?」

「ミスリちゃん?!」

一人の村人が少女に駆け寄った、少女を認識した人は次々集まってきた。

「ママはどこ?パパは居ないの?」

ミスリの言葉に村人は口ごもった

「黒龍が現れたときに真っ先に燃やされてしまって、瘴気で遺体も回収できなかったんだ」

「死んだの?」

ミスリの言葉に村人は地面を見つめてしまい、ミスリも泣きそうな顔になってしまった

「違うの、私が殺したの」

ミスリの言葉に村人は驚いた顔で少女を見つめた、そこに霧の中でで幻想が現れた。父親が少女に暴行していて食事すら与えていなかった、虫の息の少女の鼓動が途切れた時黒龍が現れたのだ。村人はショックで少女の体を寄せ謝罪の言葉を並べ泣いた

「気づいてやれなくてすまなかった」

皆口をそろえ涙であふれていた

「私のせいでパパが死んじゃった、パパに会いたい、ママに会いたい」

ミスリの悲痛な願いに白龍が少女に近づいた、そっと口づけをすると少女は白い光に包まれ。辺りも黒い霧から晴れてきた

「みんなありがとう、パパとママのとこに行くね」

村人は更に泣き、謝罪とともに瓦礫の中からミスリのおもちゃを取り上げ持たせていた。僕は横たわっている黒龍に近づき、首に刺さった剣を抜き、黒龍と少女を繋いでいた糸を切った。少女は白い花になり風と共に散っていった。


皆ひとしきり感傷に浸っていると、白竜は輝きだし白い影が小さくなっていった。光の中からルクトが装飾された衣装を身にまとい現れた。

「ルクトだったのか」

僕は驚く元気もなく小石を投げると、ルクトが何かを差し出してきた。黒龍の逆鱗だ

「これはお前が持っていろ」

その言葉に無言で受け取ると、黒い逆鱗は形を変え大剣に変わった。あまりにも奇麗で空に掲げて見ていると

「勇者誕生だな」

と国王が声を掛けてきた

「勇者?僕が?」

「へなちょこ勇者だな」

カインが僕の肩を叩き、微笑んでいた

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