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第1話

僕のいる国は龍を退治するのが専門だった龍を弱体化させる石が沢山採れるからだ龍の居場所は水牛が知っている、今朝もそうだった、近くの村で龍が暴れ村が壊滅したそうだ。今回僕は討伐隊に任命され、出発するところだ

「お、君も一緒か」

そう言葉をかけてきたのは僕の村で変わり者で通っている、ルクトだ

「やあ!ルクトも一緒だと心強いよ!」

「僕は気乗りしないけどね」

杞憂そうに彼は集会所へと歩いてゆく、彼についていけば何とかなるだろうと後を追う


集会所では襲撃された村の説明と、今回目撃された龍の情報交換であふれかえり、メンバーが次々決まっていった

「本当に僕と一緒でいいのかい?」

ルクトは小首をかしげたが僕はそれでよかった、彼は変わり者だが、危機には人一倍感が良い。それぞれが国の門前に集まってゆく、門の向こうは大河があり、小型船と水牛が何頭か集められていた。

「ではまず水牛の扱い方を教える」

恰幅のいい中年男性が前に出て高らかに叫ぶ、今回のリーダーだ。手には大きなバタフライナイフが握られているおもむろにそのナイフを水牛に向けて振りかざす、切れ味がいいのか水牛の横腹が大きくえぐれた。だが血は出ず水しぶきが上がる。

「こうして傷を負わせることで水牛は龍のもとへ行こうとあがきだす、進まなくなったらまた傷を与えればいい。分かったな!」

男性はそう言うと船に乗り、先へと進んでいった。

「こんな事が許されるのか」

ルクトはそう言うとくるりと踵を返し、どこかへと行く。

「どこへ行くんだ?」

しばらくついて行くと木陰のできた小川へと着いた、そこには一頭の水牛が居た。

「僕ね、思い出したんだよ」

ルクトはそう言うと水牛へ寄りかかる。

「何を思い出したんだ?」

ふふ ルクトが小さく笑った気がした

「僕は昔龍だったんだ」

おかしい奴だとは常々思っていたし、村では有名だ

「そんな事よりみんなの元へ戻ろう、置いてけぼりにされるぞ」

ふふ また笑った気がする、ルクトは水牛を愛おしそうに撫でる

僕は謙遜の気持ちが沸き上がってきた、水牛は肉も旨くなく乳も出ない、毛も死んでしまったら使い物にならない、生産性のない生き物で愛着などには程遠い気がしていた。そんな水牛にルクトは囁く、そんなにも愛おしいのか、と木に寄りかかり眺めていると。水牛から徐々に光が溢れてきた。何が起こっているのか目を見開いた、辺りを見渡し幻覚でないのか確かめてみる、夢かもしれない。瞬きなど忘れたころには水牛はみるみる大きな龍へと変わった、水のようなクリスタルのような見たこともない龍だった。

「龍はね、色んな生き物、生物から生まれるんだ、僕もそうだった、僕は何から龍になったか思い出せない、だから探しに行こう」

そう言って龍の背中に乗り、僕に手を差し伸べてきた

僕は彼の手を掴み彼について行くことにした

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