ざまぁのその跡。
ふぅ……。
ため息をついた。つかざるをえない。だってこの状態だ。
僕はアンシガール公爵家次男、ルルーシェカ・ル・アンシガール。エルシェルカ王国、筆頭公爵家の嫡男。ん、次男だけど正当な跡取りです。
まぁこーゆーのはさぁ、お家での教育とかで学んでいるはずなんだけどなぁ……うん。現状、パニックだよね。
僕は「前世」の記憶があるので、こーゆー状態にも。あ~~……転生あるある!って思えなくもないけどさぁ。
現状を改めて確認しよう。
僕は前世@異世界の元日本人で成人済な男子だった記憶がある。で、こっちの世界に転生したのか……?な感じで、おぎゃ~して、ちゃんとこの世界での教育をうけて育った。だから現状も認識できている。。。と、思う。
そして目の前では異世界テンプ的レな ざまぁ? が、進行中。
庶民代表??的な、ふわふわピンク髪(ありえない!)な女の子を数人の男子が守るようにして囲み、私の姉上を弾劾している。 うん、ざまぁって、こーゆーのだったっけ? それにしては、追及する球(理由)が弱弱すぎなくないかなぁ……?
曰く。婚約者に近寄ったから、虐めたとか、迫害した? その証拠が、上から水かけたとか学習用具を水浸しにしたとか、噴水に落としたとか……水多すぎない案件?? 毒をもったとかいう疑惑もあるようだが、ここは王立学園だから。魔力万歳!な先生方もいるし、食堂だって万全な備えがあるはずだし?
そもそも。王家があえて設けた婚約者のいる男が、公の場で他の女の腰を抱いていていいものなの? そして。その場を囲んで、うんうん真顔で頷いているメンズくんたち。僕の義母兄も混じっているけど……貴族社会的な公的立場においてどーなのよ。
ものすっっごく突っ込みどころ満載だけどっ。
うちの姉上の元・婚約者は、うるうるお目めな庶民の女の腰をだいて笑って去っていった。
はぁぁぁ……っっーーととっとうせろ!!
「姉上……。」
「……わたくしが、及ばぬばかりに……。」
いやいやいやいや!! この貴族社会において、あの王太子の振る舞いはそもそも論外ですよ! あの自称 「聖女」 を名乗るあの女もな!!!
絶滅しよう。
決めた。
「ふぅ~~……。わが公爵家は正式に王家に申し入れをいたしましょう。」
宣戦布告だ!!!
「さて。」
紅茶をいただき人心地ついた後、自室の執務室において執事に問うた。
「父上はお戻りではない?」
「はい……お嬢様のーーヒルデナイト様への婚約破棄について抗議のため登城されたままです。」
父上の猪突猛進ぶりにも頭が痛いなぁぁと米神をおさえつつ、まぁ多少なりとも子を思う親のありかたに心を癒され、これからの方針を指示する。
「アンシガール公爵家より正式な抗議文を王室に送る。付随して、賛同いただける貴族院の方々への文をーー。」
「ルルーシェカ!!」
前触れもなしに部屋に突入してきたのは、義母兄だった。
「兄上……。」
「ヒルドの廃嫡を拒んでいると聞いた。どういうことだ!?」
「いや……こちらが伺いしたいのですがーー何故に姉上を我が家から、と?」
「ヒルデナイトは聖女を迫害した!」
「はぁ……。具体的には何を? そして、貴方の仰る 「聖女」 とはなんなのですか?」
「アンナを庶民という理由だけで迫害し、まして聖女でないと公然と批難していたのだぞ!!」
「いや……兄上。――事実、その女は庶民ですし……。まして、断りもなく手を触れられようであれば、相手が誰であれ公爵家の者であれば指を払うのはあたりまえですよね……? そして。教会はかの女をいまだ聖女と定めていないわけでしょう?」
「現世の膿に浸かりはて腐った教会などに真実は見極められない!!」
「……まぁ百歩譲って、教会の腐敗がある可能性は認めます。ですが……姉上を貶めるような現状を、「私」は認めませんよ。」
「おまえはヒルデナイトを擁護するのか、聖女ではなく!?」
「当たり前でしょう。私の姉上です。」
ギリギリと歯をくいしばる兄を見上げながら告げる。
「姉上、ヒルデナイト・ル・アンシガールを「認めない」というのであれば、此処に、貴方の籍はありません。」
「……どういう意味だ?」
「そのままの意味です。貴方は今この場での発言により、我が家にいるべき価値を失くしました。貴方がそれを望んだのですから本望ですよね?」
「これがおまえら貴族という正しきあり方か!!」
「ええ。貴方が望んだ通りに。」
ふぅ……と小さくため息をつく。
「僕は兄上が好きでした。努力され、ご自分の道を切り開かれようとする姿に憧れていた。……あんな女にたぶらかされなければ。――ですが。姉上を切り捨てた時に、道は別かたれたのです。家を大事にできぬものを。そう……我が家と、「おまえ」とは。」
手をふって退室を促す。
「以後、我が家への立ち入りは次期当主たる私の命により禁ずる。」
「父上! 父上は正しい判断をしてくださる!!」
「……本当にすべからき断りを分かっておられない……。」
警護兵たちに引きずられ喚く声が遠のく。まだ力を抜くことができぬのを分かっているので、矜持をたもったまま執事に命じた。
「庶子を外へ。連なるものは今後一切門をくぐることのないよう。端々にまで徹底するように。」
そう命じた。
まぁこれで。我が家の害のちょっとは切り離せたかな。とは思ったのも事実だ。
ほんの少しだけどね……。長子ではあるが庶子であった兄上派の者たちは有無を言わさず本邸から追い出すことができたのは僥倖だ。
……兄上に心寄せる者たちはいろいろな意味で現状不必要であったから。悪さをするわけではないから、これまえでは放っておいた。おそらく自身たちの正義をふるまうような……? 本当に迷惑ではあるが兄上の本来の意味で手足であったのであればそれはそれでやりようもあったのだけれど。個々の主張があるとないとではと判断が難しい。統制がとれない。それも、自分の家臣であるように明確な目的があって従っているのとは異なる場合もあるので骨が折れるものだ。
「姉上。」
喪にふくすような地味な服装で姉は自室に自ら蟄居し、俯いていた。
言葉を震わせながら提案に悩んでいるようだ。
「……ええ、よろしいのかしら、ルルーシェカ。わたくしが領土に赴くというのは……。」
「もちろんです。謹慎と銘うっておりますが、姉上はなにも間違ったことはなされておられません。ゆっくりと 「領地」にて、ご養生ください。少しでもお心が和らぎ健やかに過ごせるのを心から願っております。」
「……ありがとう……。」
涙ながらに領地に去り行く姉上との別れを惜しんだ。
でも姉上も。わが領土となどと認識しておられる方だからなぁ……早々にご退陣していただいて正解だったのかもしれない。皇太子妃候補が……ねぇ。この程度とは。
姉上は皇太子妃としてとても真摯に取り組んでおられた。
同母であったけれど、会う機会はさほどなかったし、同じ邸内に住まわっていても、お目通りかなう機会もそうなかったのであくまで近習たちの囁きありきではあったが。
そう。いっそ異母兄とのほうが交流はあったくらいだ。父は、本流を尊じてはいたが、自身の血による子供の差別はしなかった。それを庶子である兄がどう思っていたかは今となっては想像するしかないのだが。
さて。貴族院たちからの返信はまぁ想像の通りだった。
おおよそ、ざまぁした気分のヒロインの真逆だと思うけどな!
おそらく己が主人公。と思いあがっているであろう庶民出の聖女を名乗る女は、その白魔術<癒し>でこの国を治める=納得できると思っているのだろう。いやいやいや……そんなちゃっちい魔法で、国が治めるとでも??
はぁぁ……一番の問題は、王太子だよな。その側近(義兄を含む)は、まぁ話にもならないが。
僕は同列の貴族に手紙を送ると同時に、皇后陛下へ言上さしあげた。まぁ端的にいって、これでよろしいのでしょうか? と。
お返事は早かったな~~。奥宮へむかう正装直しが間に合わないかと思ったくらいだ。
ご招待いただいた奥宮にむかう。うう~~ん……ほとんど入れない領域だから。はぁぁ緊張する。。。基本、こちらは女性の領分だ。緊張が半端ない。
お呼びいただいたのは見晴らしの良いガゼボだった。中庭にお洒落なティーセットとお菓子が用意されていた。いや今はそうゆう場合ではないですよね……と恐縮しつつ。促されるままに席につき、カップを手にした。 飲まないけどね! なにこれマジ怖いんですけど。いろんな意味で。
「……息子が迷惑をかけましたね……。」
おおっと直球ですか。まぁ色んな意味でいまも迷惑かかっておりますが?
「あれは……自身が求めるものを貫くばかりに、おおよそ迷惑を振りまいているようですが……。学生であるうちは、許容範囲内ではあったと思うるのです。」
ですよねー。
たとえば貴族の子息であれば。あるいはその我儘もさえ罪にならない範中かもしれませんが。
大国の王太子が、一庶民の女子に血迷って?王室が定めた公職家の許嫁を公共の場で婚約破棄を命じ、一方的に断罪し晒しものにしたのだ。
ーーさて。王室から、われらがアンシガール公爵家への償いとは?
「息子は……アルベルトは王室から除籍。その妻であると名乗る者も伴になることかと。……そもそも我らはその婚約を認めておりませんゆえ。」
それが王家の見解なのだろう。
納得し、頷いた。
「正当な評価と平伏し、われらが一同王家の言に従います。」
「多々迷惑を……。」
少しだけ苦笑いしながら他に思いつかない上辺だけの言葉を口にした。
「ーー王太子殿下もまだお若いことですし……。」
さすがに言葉をにごすが、皇后陛下は扇をひろげていたため、その表情や思いのたけは映らなかった。
あぁあ、面倒くさかった~~。
んんん。父上が謀殺されている以上、嫡男である自分が処理しなければならない案件が多々あるのは納得しているけどー。うん、せっかく招待されているこの王城のお庭を散策しつつ癒されよう。そのぐらいは許容範囲のはず!
うん、本当に綺麗だなぁ……こちらのお庭。
ガゼボを出て、ふらふらと足が赴くままに堪能する。
が。
「とても良い匂いがするな。」
あ~~なんかヤバい兆候!
背後から声がかかり、僕は脱兎のごとく庭園から離脱した。
マジやばい感じがしたんだよね。国内のある程度の危険は回避できる自信がある。そのように育てられていたから。けど。
「なんで逃げようとしているの?」
「てめーがきしょいからだよ!!!」
「私の番なのに?」
はいー。アウト!
知っている。 「つがい」 って。あれだろ? 運命とか、生涯を伴にするとっかってゆー……お断りします。お引き取りください。
真顔でそう告げたのだが。
唯我独尊の主さまは留まらない。
あ~~~聞かない人がここ居るよ! 僕はこれでも次期公爵なんだし助けろよ!!って周囲を見渡したが。騎士は逆に僕の身柄を確保すべきかとおどおどしていた。文官たちは見て見ぬようふるまっている姿が一望できた。 滅せよ、文官たち!!
結論。声の主は、隣国、アルフォルト帝国の王太子だった。
こっちも王太子か!と、内心滅べと念じつつ睨みつけた。当たり前だ。どれだけ迷惑かけられていると思っているのだ!!
ギリギリしている僕の前で優雅に南方由来の珈琲をめしあがっているのは、繰り返すがアルフォント帝国の王太子だ。名前は知らない。公表していないからなっ。
なんとか表情にはださないよう気をつけながら、エスコートされた席にはついた。供された紅茶に罪はないので美味しくいただくことにする。こいつに僕を害する意味はないだろうから。その点は安心。
「見事な庭園だ。」
「さようですね。」
「このような中庭が好みか?」
う~~ん……と。む。まぁそうかもなぁ。色とりどりに季節あわせて整備された庭。庭師たちの努力がわかる。丹精の結末だ。
「はい。これらはーー。」
「皇太子さまぁぁ!! お助けください、わたし、冤罪で……!!!」
言いかけた途中で飛び込んできた闖入者に、心底、驚いたっ!
心臓がバクバクいってて胸を抑えるしかない。アルフォルト帝国の王太子は瞬時に立ちあがり、僕を抱えこむようにして一緒に胸に手をあててくれた。
あ。自称、聖女じゃん。目の前にいる女。
すん。と、感情が抜け落ちる。
そう、落ち着くとかではなく、オチるんだよ。白けた目で見る先には、うるうるお目めでなんだかはだけた衣装のはしたない女がアルフォルト帝国王太子を見上げている。
いや。おまえ、断罪の塔に囚われていたはずだよね? わが国の元・王太子と尋問されていたはずだよね? と、ちょっと動揺したけど。まぁ貴族スマイルで対応してみた。さすがに他国の方々のお手をわずらわすわけにはいかないからね。
「衛兵。罪人が王庭にいるぞ。」
「え??」
「誰が返答の許可をだした?」
「えーーええ、だって、私、このストーリーのヒロイン!」
はい。アウト~~。
だから他国の皇族に近づいても良いと思っているのか? うすうす、この自称・聖女が転生者ではないかと思ってはいたのだ。あまりに彼女にとって都合よくストーリーが進んでいるよう感じていたから。だがしかし。公爵家の僕に許しもなく声をかけても良いと思っているのか。今世で学園に通っている育ちであるのであれば、貴族階級におけるマナーくらいは常識であろうに。
頭が痛くなって近場にいた衛兵に連行するよう命じた。
キーキー叫んでいるのは論外だが、なんで近衛兵がこの場にいないんだよ。普通に国外の要人がいるのだからもっと護りをあつくするべきだろうに。
「大変お見苦しく……」。
「いや。最愛をこの腕におさめることができたのであれば。」
最愛はともかく。そうだよ、隣国の王太子に抱き込まれているこの状況って、最悪じゃんか!!!
僕はキリキリしていた。
心底憎しみの表情を浮かべて周囲に発散している自覚はある。
「父上……父上は、まだお戻りではないのか?」
「皇帝陛下にお引止めなされているようで……。」
そんなのぶっちぎって帰ってこいよ!!と喚きたくなるくらいには激昂している。傍目には見えなくてもな。
そんな僕の左腕をさすさすしているのは隣国の帝国皇太子だ。まだ名前は知らない。なのになんで当たり前のように僕の腕を持っているんだ。そちらの方が事案だぞ!
「帝国の王太子さまが我が家にとーー!」
長女たる姉上に対する一言もなく第一声がそれかっ。そんなにこの男が欲しいならさっさと持っていってくれ! 迷惑なんだよ!!
「……誰だ?」
「さぁ。」
冷たく返してやった。
「え、えええっ。お義兄さまっ。どうしてそんな他人行儀な……っ。」
って、ほぼ他人じゃないか。食事を供にもしない義母妹やその母を家族と思うのか? 頭の中身をみてみたい。
ちょっとまじまじ眺めていたせいか、なにやらわーわーと喚いているようだが、興味がないので下がるように告げると、ひどいです!横暴すぎます!とか叫んでいた。
いや普通に我が家の恥だから退ってくれよ。
もう実力行使しかないのかな。と諦めかけていた時に現れたのは、父上の第二婦人。目の前で騒いでいるものの実母だった。 うん? 家令を従えているな。
「なんの騒ぎですの?」
「見苦しく騒いでいるものがいる。」
端的に指摘すると、第二婦人は眉を寄せた。だからどうしたというんだ。
「わたくしの娘がどうかいたしました?」
「ご客人の前で見苦しい。」
「……さようですか。」
「ああ。以後、表向きには姿を現さないように。」
「それはーー貴方のご判断で?」
「無論。次期当主として命じている。あれの釣書も当家では受けとらぬ。一切の表に出ぬよう差配せよ。家令、おまえもだ。わが目前に姿を見せぬように。」
「ご当主さまは貴方ではありませんよ!!」
第二婦人が声をはるが、だから駄目なんだよなぁぁ。
「ああ。貴方がたの「ご主人様」に、お伺いすれば? 私は、アンシガール公爵次期当主であり、アルパルノ辺境伯、ルルーシェカ・ル・アンシガール・アルバルノドですから。」
知っているはずなのになぁ。と思いながら、階段に足を進めようとした。
アルバルノは先の戦績で賜った名だ。一応領地もある。辺境伯と言われる通り、わが国においての北方。辺境だ。僕は満足しているし、そこを発展させてアンシガール公爵領と損得ないような地へと思い願っている。だから、アンシガール公爵本家は義兄なり義妹婿なり、他に顔を覚えていない弟妹のだれかを据えれば良いと考えていた。領地経営大変だからな!
「それで良いのか?」
ん? と思って振り返ると、深慮しているようなお客人の姿が。
「此処でそのように過ごして良いのかと聞いている。」
しばし悩む。
それはね~~……突っ放してもなんとか運営できるだろうし、僕自身は前世の記憶もあるからそれこそ庶民になったとしてもやってゆく自信はある。でも、この家の嫡男だしなぁ……と悩んではいるのだが。あれ、でも、家令にすら裏切られるような立場って……?
少しばかり悩んでいると。
「わたしの元に来ないか?」
んん~~…帝国か。大陸の1/3を手中に掌めているといって過言ではない超大国。
おそらく次期王様からのお誘い。
うんん……でもまだ王太子だしね。
さくっとお断りしようとしたところ。
「私はおまえが欲しい。」
えええ、ド直球。
「おまえ以外の伴侶はいらない。」
うちの父上ですら3人の妻を抱えていますが。(僕の実母はお産により亡くなって、第三婦人は子飼いの部下の乳母ですけどね。) いろいろあるのが名家の証ともいえるし。
「うううう~~ん……。」
「お待ちください!」
「ルルーシェカ様!!」
なんか外野が騒いでいるけど、、、そうか。全部切り捨てて出奔とゆー手もあったのか!
できるなら冒険者とか、まったく違うストーリーに殴り込みをかけたいところだけが。
俺の手をしっかり握って離さない隣国の王太子はにっこりと笑った。
「うちに来るよね?」
すっげー軽い感じで友だちの家に遊びにおいで?みたいに言ってくる。握っている手がみしみしいっているのを構いもせず。
結論。
僕は嫁いだ。まったくもって想像もしない未来だった。
誰一人自国から伴いもせず。あ、父とも話さず仕舞いだったな。まぁいいけどなぁ。。。その程度の関係だったのだと思った。
隣国は帝国を名乗るだけあって立派なものだった。それだけに有象無象が跋扈しているけどな!!
僕は執務室でばっさばっさと予算を切り捨てつつ、送り込まれてくる暗殺者を文字通り切り捨て。与えられた仕事を完遂している。
「そろそろ子ども作りをしようよ~~。」
などとのたまう王太子――ではなく、父皇帝を弑逆し、国を改革した英雄皇帝に今日も口説かれている。
魔術をつかえば同性でも子作りは可能だ。そして俺は聖魔法が使える。白魔法ではなく聖なる魔法。教会お墨付きの魔法使いだ。自国を出る時はそれはそれは色々あった。
だが。ただ単に子供が欲しいのであれば、そこらに転がっているおまえに惚れている女子に囁け。
「ルルーにしか言わないよ?」
どうして俺の心が読めるのか。そのあたりはいまだに謎だ。
……まぁ、あと数年、同じことを口にするのであれば、考えなくもない……かもな。今は、一緒に二人だけで抱き合って眠る夜が恋しいからな。口には出さないけどな。




