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昨日見た夢

作者:

教室に入り、誰にともなく挨拶をする。その瞬間感じるいつもと違う空気。

当時、付き合っていた彼女が泣き出す。


そして、クラスのリーダー格の女子が泣いている彼女のために言うのだ。


「何度も告白されて断り切れなくて付き合った」

「強引に口づけをされて怖かった」


と。

確かに、何度も告白してようやく付き合うことができた。

本当は断り切れなかったのかもしれない。

でも、彼女は昨日まで幸せそうに笑っていたのだ。

デートの後も、連絡をして仲睦まじいやり取りをしたのだ。

込み上げるのが怒りだけなら反論も容易かっただろう。

混乱、不安、悲しみ、絶望。

今までの思い出が全部崩れていく感覚に、紡ごうとした言葉は解けていく。

それでも伝えたいことがあった。言わなきゃいけないと思った。

だから。


「違うんだ!僕は彼女のことを大切に思ってて、傷つけるつもりは無くて」


それは、思春期の僕が口にするには抵抗感がある甘酸っぱくて真っ直ぐで素直な気持ちだった。


「……そうじゃないよね」


少し落ち着いたのか、彼女が口を開いた。


「私、辛かったんだよ?それに対して、なにか言うことあるでしょ?」

「…………ごめんなさい」


そう言った瞬間、クラス中から拍手が巻き起こる。

どこからともなく「よく言えた!」「えらいぞ!」とはやし立てられる。

それはまるで「反論の機会は与えないぞ」という圧のように思えた。


彼女の言う通り、僕が悪かったのだろうか。

少なくとも元の関係に戻れそうになかった。

彼女という絶対的な信頼を置く相手を失った喪失感と、

周りのみんなが彼女の味方をして反論さえ許されない無気力感。

眩暈がする。自分の席に座ろうとしたが、視界がぐるぐると回り、そして。




目が覚めた。

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