中篇②
金曜だけど思ったより早く終った免許更新…
もぅ来てるかな?と思いつつライン送る
「終ったけど、どこ行ったらいい?」
相変わらず返事早い
『お疲れさん、駅から来て2階のモールの入り口で』
「わかった、たぶん5分程で着くと思うから」
『了解』
入り口で女性2人に言い寄られてる朔耶を見つけた。うんカッコイイねぇ。黒のインナーに黒のスリムジーンズかな?エンジのシャツに無造作の腕まくり。モデルみたいだよ。そんな状態の朔耶に声かけるの面倒臭い。食事に誘われてるけど食欲無いし寝不足だし帰ろっかな。駅すぐそこだし、ライン送っとこう
「楽しそうね。帰るね」
目が合った朔耶に手を振り、駅に向って歩く。改札口近くで捕まった。
んー機嫌悪いオーラ全開でちょっと怖い…間違えたかな?
『帰るってなんだよ。せっかく会えたのに』
「…ごめん」
『疲れてる?食事どうする?何か食べたい物ある?』
「あまり食欲無くて、軽い物でいいかな」
『そっか。何かテイクアウトしてマンションでゆっくりしよ。渡したい物あるし、聞きたいこともあるから』
「それなら帰ってもいいかな?朔耶もこんな私じゃ楽しく無いだろうし。また今度でもいいかなぁ?」
帰る?…やっと会えたのに、楽しく無い?…一緒に居るだけでも楽しいのに、また今度って?渡したい物あるって言った、聞きたいこともあるって言ったのに帰るって何処に?今日は瞳の誕生日でプレゼントとは別に指輪、プロポーズする日で……また今度って、今日逃したら次は無い気がする。帰さないし逃がさない
『帰るってなんだよ。楽しく無いって何が?やっと会えたのに、また今度っていつ?明日?1週間後?1ヶ月後?いつ時間取ってくれるんだ?渡したい物あるって言った、聞きたいこともあるって。また今度なんて有り得ない、今日しか駄目なんだ。』
気付いたら、瞳の手首を掴んで歩いてた
リビングでコーヒーを飲み少し落ち着いたので
『なぁ、連絡出来ない程に忙しの?最近は俺からしかしてないよね。連絡しても素っ気ない感じがするし』
「…ごめん」
『マンションの事も知らなかったし、さっきも帰るって……彼氏を何だと思ってるんだよ』
ガタッと音したと同時に青い顔してて涙ポロポロ流しながら立ち上がり
「帰る」
訳分からず、玄関に向かう彼女を抱き抱え寝室に入りベッドに押し倒した。逃げないよう両手を押え
『なぜ泣いてるの?何かした?何が不満なんだ?言ってもらわないと解らない』
「…………」
『瞳、答えて』
「…み……おみ……」
『み、おみ?』
「半年前、着物着た綺麗な女性と歩いてた。お見合いしたの?私、彼女じゃ無かったの?怖くて聞けなかった。いっぱい考えた。本命出来るまでの繋ぎなのかなって。都合のいい女?セフレ?だったら別れなきゃって。でも、朔耶の事が好き過ぎて自分から別れられない、言えなくて…少しづつ距離あけてマンション借りて自立しようって。家族にも内緒にして誰にもわからないようにして、朔耶にも黙って離れるって。作曲とかも大丈夫なってきたし、だから……彼氏って。彼氏だったの?」
『姉だよ。姉のお見合いの送迎してたんだ。それと本命?セフレって何で思ったの?』
「付き合ってと言われてない。私も言わなかった。好きって言われた事無かったし私も言ってなかった。だから恋人じゃないって……」
『好きだよ。瞳だけが好き。不安にさせてごめん。大事な言葉なのに…付き合えて嬉しくて舞い上がって…大切な事忘れるなんて、本当にごめん』
「私もごめんなさい。」
『好きだよ。愛してる…ずっと一緒にいたい』
「朔耶大好き、私も一緒にいたい」