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前編

 

 「ん〜終わったぁ、」

 

 ヘッドホン外し首を回しながら時計を見ると1時半過ぎてる。

 曲作りに没頭し過ぎたかな。

 

 コーヒーを淹れ直し、ソファー座りスマホをとラインが4件彼氏から

 8時から1時間毎に……

 

 『明日、ご飯行かない?』『おーい瞳』『返事ないし』『練習出来ないほど忙しいんか』


 えっ、怒ってる? こんな時間だけど取り敢えず


 「ごめん、今ライン見た」

 『何してた?寝てたの?』


 返事はやっ、まさか起きてた?返事待ってたのかなぁ?


 「ヘッドホン付けて曲作りしてた」

 『それで曲作り一段落したの?』

 「出来上がったよ。来週の月曜に事務所に届ける」

 『そっか。じゃぁ、会える?』

 「えっ?今から?」

 『御飯のお誘いしてたけど?何なら今から迎えに行くよ』

 

 何?この展開、ここ半年可怪しい。こんな人じゃ無かったのに…ちょっとイライラする。

 

 「朔耶ごめん、免許更新行くから無理かな」

 『半日で終わるし、△□更新センター迄迎えに行くよ』

 「○◇更新センター。楽器や資材、資料置くのに部屋借りたから」

 『はっ?聞いてないけど……』

 「実家の部屋に置くのに狭いから借りたの」

 『○◇センターだったら、駅前のショッピングモールで待ち合わせな。詳しく聞かせてもらうから』

 「それって絶対?」

 『当り前だし、終わったら連絡して。じゃ、おやすみ』

 「おやすみなさい?」



 こんなはずじゃ無かったのに…



 朔耶……2才下の弟と一緒に会社起ち上げた仲間であり親友

 出会いは弟が高2のとき遊びに来た日に紹介された。爽やかイケメンで感じの良い子だった。試験前に勉強教えたりしたから懐かれつたかな。

 当時私、彼氏いたから何とも思わなかったなぁ


 再会は私が24才の時、某会社の創立パーティ会場で…

 退屈なパーティで話が弾みライン交換し、何時の間にか付き合っている状態に……

 

 付き合って2年過ぎた頃、着物着た綺麗な女性と仲良さそうに歩いてる朔耶を見た。

 

 お見合い?彼女?私は?

 そればっかりが頭に浮かび、ベッドに潜り涙流した。

 

 ふと思った、付き合って下さいと言われた事も言った事も無い。

 好きって言葉も言われた事も言った事も無い……

 朔耶にとって私は本命出来るまでの都合のいい女?セフレ?なのかな?

 だったら、別れなきゃいけない…このまま付き合っても良い事無い。


 けど…好き過ぎて私から別れを切り出せない、このままでもと思ってしまう。

 グダグダ考えてたら、朔耶からラインがきた


 『明日、仕事終わりに会えない?』


 女性と会ったその夜にラインしてくるなんて、頭痛くなってきた。


 「仕事終わりに曲作りの打ち合わせあるから」

 『そっか、何時に終わるの?』

 「わからない。打ち合わせで疲れそうだし、日を改めてって事で良いかな?」

 『わかった、いつなら大丈夫そう?』

 「打ち合わせ次第で、お風呂入らなきゃだから、又ね。おやすみなさい」

 『わかったら連絡して、おやすみ』


 

 決めた。幸い曲作りや作曲の依頼もボチボチ増えて来たし、少しづつ距離をあけながら

 マンション借りて自立目指そう


 そう決心して半年、朔耶の行動が変わって来た。

 甘えて来たり我儘言ったり、溺愛して来たり……


 


 一緒に御飯食べたくないなぁ…

 

  

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