ジーク登場
アレンの職業は自称賢者。しかしチビ達を召喚したことから召喚士である可能性が高い。
貧乏な家庭で育ったアレンは12歳で独り立ちし、職業選別の儀を受けること無く18歳まできた。
流石に適正職業がかけ離れすぎているだろうと言うことでチビ達と一緒にティルマ院へと向かう事に。
ティルマ院とはこの地域唯一の神殿。神からの神託を授かれるとされる場所──
神殿は白を基調としたパルテノン神殿を彷彿とさせる荘厳さを醸し出していた。
ティルマ院では本日も職業選別の儀を厳かに執り行われていた。この世界の成人は15歳。15歳になった子供はティルマ院へ銀貨5枚のお布施を行い、職業選別の儀と成人の儀を行う。
成人したからと言ってどうなのかと言われるが枷が外れるとされている。人は生まれながらにして枷を背負う。前世からの罪を。その枷は子供の時に果たされ成人とともに外される。まぁ単純にステータスがアップするのだ。特技の発現もこの時が最も多い。
しかし成人の儀を行わなかったからといってずっと能力に枷がかかっているかと言われるとそうでは無い。単純に成人と共に体が成熟し始めると言う理由もある。まぁ結局のところ神頼み的な儀式とも言えるのだ。
──次の者。前へ──
神官が俺を呼んだ──
アレンは前に進む。周囲には15歳の垢抜けない子供たちが沢山いる。ヒソヒソと噂している。
『あのオッサン…何しに来たんだ?』『どうせ変な職業でも言い渡されてイチャモンつけに来たんだろ!』『ださーい笑ってかオッサンじゃーん!』
針のむしろだ──
しかし──チビ達は俺を見て恍惚の表情。
その理由は、、、神官がビビっているからだ。その未だかつて無い職業に。
職業とはその者にあった仕事と言う意味だ。適正のある仕事。
戦闘職ならば勇者、戦士、剣士、魔剣士、闘士などだ。魔法職ならば魔法使い、魔道士、賢者だろう。
非戦闘員ならば鍛治職人、料理人、魔獣使いなど様々いるが戦闘には基本的に不向きだ。魔獣使いなど中には可能な者も存在するがそれは例外だ。
そしてアレンに発現した職業。
──それは妄想召喚士──
ただの召喚士ならば分かる。レアな職業だが1つの大陸に1人位は発現する。召喚獣と契約し使役する者。それが召喚士だ。炎を吐く獅子やブレスを吐く龍など術者の能力に依存した召喚獣を従える。
だが──妄想とはなんだろうか?妄想とはそもそもあるはずのも無い物やいるはずの無い物を幻視する事だ──
そしてその妄想を現実の物として召喚する者。それが妄想召喚士──
そう神託が下った。それは余りにも異常で未知なる力だった。
──それ故に──
『ギャハハハ!なんだ?妄想って!召喚士も使えねぇレア職なのに妄想とか!ギャハハハ!』『妄想とか!キモ!変態じゃん!』
若者たちは言いたい放題だった。彼らは皆普通の職業を告げられた。レア職はいい意味でも悪い意味でも目立つのだ。仕方ない事だとアレンは思っていた。それでも賢者では無く《妄想召喚士》とは…良かったのか悪かったのか反応に困っていた。
チビ達は主を馬鹿にされ目が血走る程怒っていたが決して手を出すことは無かった。俺がどんな事があっても手出しは無用と伝えたからだ。
──妄想召喚士──とチビ達は家路に着く
チビ達3匹の二足歩行の猫は妄想による産物だ──
俺はその日の晩、久々に夢を見た──
夢では大きく銀色に輝く盾が特徴の装備を身に纏ったチビ。漆黒の鎧と身長を超えた大剣を携えるクロ。鮮やかな衣装に身を包みおどけているピエロの様なヒカリが一つ目の巨人と戦っていた。そして俺の肩には輝く針を持つ変な仮面を被ったリスの剣士が突撃の合図を待っていた。
ジーク今だ!突撃!
仮面のリスは巨人の目玉目掛けて弾丸の様に一直線に突撃した。輝く針が突き刺さった眼球は抉り取られ地面にゴロンと落ちた。巨人は目を抑えて苦しむ。
──バッ
そこで突然目が覚めた。
目覚めた俺の肩には気配と言うか違和感があった。ふと眼を落とすと夢で見た仮面を被ったリスがすやすやと寝ているのだった。
拙い文章ですが読んで頂きありがとうございます。
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