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3匹の実力

無事?冒険者登録を終えた俺達は──


初めてのクエストを受ける事無く《始まりの洞窟》へと向かうことにした。


冒険者に憧れルーキーとなった冒険者達の登竜門。


少年少女が通う初心者オススメの弱い魔物の巣窟だ。


巣窟と言っても殆どの魔物が単体で出現し、一階層からなり洞窟内もアリの巣の様に大きな部屋が繋がって出来た構造となっていて戦闘向きだ。


それ故軽微な装備で望めると初心者人気コースなのである。


俺は初心者ではないが元々戦闘向きではない。斥候や仲間のサポートに徹していた為殆ど攻撃機会は無く低レベル。それを理由にお荷物扱いされたのだ。


レベル12の俺はチビ達に提案した。


「チビ、クロ、ヒカリ。僕は低レベルで非戦闘員。だから少しでも強くなろうと思う。レベル上げに協力してくれないか?」


『勿論でございます。アレン様。』

『了解であります。アレン様。』

『わかったよー!レン様!』


「ありがとう。いきなりクエストを受けるのには不安が残る。君達の実力も分からないしね?だから…俺は君たちと始まりの洞窟へ行こうと思うんだ。そこで色々確かめたい。」


『『『はい!』』』


こうして俺達は始まりの洞窟へと向かった。


3匹の猫とアレンは始まりの洞窟の前に立つ。


洞窟前には槍を持った兵士が2人。いくら初級の洞窟とはいえ魔物の住処だからだ。

昼夜問わず入口にいる兵士達に世間話を軽く交し洞窟内へと入っていく。


洞窟には松明が一定間隔に設置されている。管理された初級ダンジョンらしい造りだ。未踏のダンジョンは無管理な為全ての準備を怠ることが出来ない。勿論死亡率も高い。


ここ始まりの洞窟は死亡率ほぼゼロだ。転移の魔法陣や避難所も完備され警報機すら設置されている。魔物が発生する原理は未だ解明されていないが、一定ランク以上の魔物は発生事例がない。だから初心者オススメのダンジョンなのだ。


「よし。じゃあまずは…チビ達に任せてみていい?俺は観てるからさ?危なくなったら参戦するね?」


『『分かりましたアレン様!』』

『わかったー!レン様!』


チビとクロが若干ヒカリを睨むが当事者のヒカリは何処吹く風でズンズン前に進む。始まりの洞窟にはトラップも無い。安心して前に進めるのだ。


『あ!レン様!宝箱が!』


「えっ!?宝箱?」


ダンジョンには付き物の宝箱。それが戦闘もなくいきなり発見されたと言うのだ。しかしそれは探索されつくした始まりの洞窟にあるはずも無い。その宝箱が目の前にあるのだ。


しかも…金の宝箱だった。金の宝箱は箱すら価値があると言われる稀な宝箱。純金で造られた豪華な宝箱は開ければ無論罠の可能性もあるが冒険者なら開けられずにはいられないだろう。


アレンもワクワクしながら金の宝箱に手をかけようとする。が第1発見者のヒカリがスルッとアレンの前に立つと宝箱を解錠する。


「…えっ…?ヒカリ?」


『レン様。ごめんね?でも…ボクの方が運が高いんだ。ボクが開けた方がいいモノが手に入るよ?』


そ、そういうものなのか?と思い直し宝箱の中身を見る。


金の宝箱の中身は《小さな指輪》だった。


『アレン様これは…』とチビが驚愕の顔で声を漏らす。


『な…ありえぬ…』とクロも開いた口が塞がらない様子だ。


『え?なに?これ凄いの?もー…食べ物かと思ったのにー!』とヒカリは分かっていないようすだ。


「これ…指輪だよね?チビ、クロはこれが何か知ってるの?」


『はい…これは賢者の指輪です。』


『世界1の大賢者マリオンの指輪でもあります。彼の創った物の中で最も優れたとされる魔道具であります。』


『ヒカリは食べ物が良かったー!リンゴ食べたい!』


どうやらこの指輪はいわく付きの魔道具らしい。チビとクロがずいずいと勧めてくるので装備すると頭の中に文字が浮かぶ。


~我が指輪を見つけし者よ。貴殿の知力を最大限まで引き上げ英智を授ける~


文字と共に荘厳な声が聞こえた。これが大賢者マリオンなのか…とアレンは思ったが実際のところマリオンの声は高音で威厳もへったくれも無かった。それ故にただの知り合いの禿げた武器屋の主人の酒焼けした声だがそれを知る者は最早現存しない。


「これは…凄い。俺の魔力が無限に湧き上がるほどだ!」体からは蒼白い煙が上がる。体の許容量を超えた魔力が体外へ吹き出ているようだ。


『さすがはアレン様。臆すること無く過去の遺物に手を出すなど…さすが勇者です。』


えっ…?ちょっとまって。チビとクロが勧めてきたから装備したんだけど!危ないなら初めに言ってよ!あと勇者ってなに!違うからね!俺は賢者なんだから!自称だけど。


『アレン様の膨大な魔力に誘われて魔物達が湧いてきた様であります。やっとワレ達の出番でありますな!』


俺たちが立っている部屋に続々とゴブリンと呼ばれる緑色の小人が入ってくる。その数凡そ10体。手には棍棒を持ち涎を垂らしてグギャグギャ言っている。


クロは手から爪をシャキーンと出すと両手を胸の前に構える。体を前に倒し地面につくすれすれに流れるように消えて敵の前に一瞬で移動する。そのまま止まることなくゴブリンを突き抜けて五体のゴブリンを木っ端微塵にする。


倒した損ねたゴブリンがアレンに襲おうとするがチビが身をもってアレンを護る。ニヤリと口角を上げゴブリンの棍棒を受ける。チビは一切のダメージを負っていない様子だ。怒り狂ったゴブリンが何度もチビに攻撃するがチビは微動だにしない。ゴブリンが諦めて攻撃対象をアレンに変えようとする。するとチビが跳ねるように一瞬でゴブリンとの距離を縮め今までの攻撃を全て跳ね返す様に防御していた腕をゴブリンにぶつける。刹那、ゴブリンはまるで棍棒でボコボコにされた様に何度もビクンビクンと跳ね撲殺される。


残った2体のゴブリンがヒカリへ襲いかかる。ヒカリはヒラヒラとゴブリンの攻撃を紙一重で避ける。ゴブリンは何度も攻撃を避けられる事に苛立ちを覚えたのか棍棒を床にバンバンと叩きつける。床に叩きつけた棍棒が石を砕きもう一体のゴブリンの目に突き刺さる。《あ。ごめん。》と言いたげだったが、我を失ったゴブリンは床を叩きつけたゴブリンを攻撃し頭が弾け飛んだ。そしてその勢いは止まることなく壁に激突し運悪く壁に隆起していた針状になった岩に喉を突き刺し絶命した。


三者三様の討伐だが明らかにヒカリは何もしていない。運のみで勝利したのだ。しかし9999と言う突出した異常な能力はゴブリン程度にやられるものでは無いようだ。その他の数値が10であったとしてもだ。


始まりの洞窟でゴブリン、スライムと言った最弱の魔物を倒したチビ達は1度宿へと帰還する。


「お疲れ様!チビ、クロ、ヒカリ初めて戦った感想はどうだった?」


『ワタシは完全に防御型の様ですね。戦ってみて分かりましたが防御した攻撃を跳ね返す戦闘方法です。』


『ワレは超攻撃型であります。攻撃こそ最大の防御なのであります。』


『ボクは運が良かっただけだよー!宝箱も見つかったしラッキー!ラッキー!あははは』


そしてこの3匹の素早さは異常だった。一瞬消えたと見間違える程。残像が残るなど人間技では無い。まぁ召喚獣だから人間じゃないんだけどね?


3匹の実力を知れたことは殊勝だったが、ひとつ不思議な事が起こった。何もしてないのに俺のレベルが1つ上がったのだ。何故だろう。


「なぜだか分からないが…俺のレベルが上がった件についてチビ達の考察はあるかい?」


『はっ。それは…アレン様が我らの主であるからでは無いでしょうか?ワタシ達はレベルと言った概念は無いようですから。』


『ワレらの功績は全て主であるアレン様のものであります。』


『わっかんなーい!あはははは』


そうか──召喚獣の経験値は全て俺のものなのか…これはヤバい。チートだな──

しかし…なぜこんな能力が突然発現したのか。


謎である──


「俺ってもしかして…賢者じゃないのかな?」


『アレン様は賢者などではありません。』


『アレン様は召喚士の類であります。』


『レン様はボク達にとって神様だよ?』


召喚士?神様?まぁ…考えても分からないな──


職業。それは神の神託によって導かれるもの。


アレンは自分の職業を初めて知りたいと思った──


そこで運命的な出会いがあるとも知らずに。

拙い文章ですが読んで頂きありがとうございます。

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