ギルドへ向かいます
夢だと思っていた事が現実になった――
朝目が覚めると俺の部屋には3匹の喋れる二足歩行猫が居た。
頭がおかしくなりそうだ――
昨日は変な夢を見て…猫が喋っていたな。獣人でもないのに。
「なぁ…少し質問いいか?」
『『『なんなりと!マスター』』』
1匹は華麗に。また1匹は機敏に。更に1匹は気だるそうに胸に手をあて頭を垂れる。
昨日夢で見たまんまの性格を感じた。
「君がチビ?」
『はい!ワタシがチビでございます。』
「君がクロかな?」
『はっ。ワレがクロであります。』
「じゃ君がヒカリ?」
『うんっ!そーだよ!ボクがヒカリ!よっろしっくねーー!』
矢張り。三者三様の性格が言葉使いにも出ている。
「じゃ…俺のことをなんでマスターと呼ぶんだい?」
『マスターはマスターだからです!』
『マスターは唯一無二なのであります。』
『マスターはマスターでしょ?あはははは!』
どうやらマスターはマスター。よく分からんがコイツらの主人と言った意味だろうか?
「では…なぜ君たちがここにいるんだい?」
『それはマスターが召喚なされたからです。』
『マスターが我らを創られたのであります。』
『でー。マスターがここに呼んだんでしょ?淋しいよーって!あははは』
そう───なのか?俺は得体の知れないコイツらに騙されてるんじゃないだろうか…
しかし…俺には金も権力も力も名声も何も無い。Sランクパーティー郢曲をクビになってから全てが潮が引くように無くなった。
──俺の事を自慢そうに話していた家族──
──俺の事を好きと囁いてきた女──
──周囲の店や宿の主人──
──例外なく全ての人は態度が豹変し、俺は落ちぶれた──
今の俺が唯一信頼できるもの──それは猫──チビ達だろう
だから俺はチビ、クロ、ヒカリを望んだのだ。多分だがきっとそうだ。
──そうか。わかったぞ?これで合点がいった。
俺はチビ、クロ、ヒカリを創った。淋しくない様に。それはペットとしてじゃ無く《決して裏切ることの無い仲間》としてだ。
──そうか──じゃあ──
「ねぇ?俺の事はマスターじゃなくてアレンって呼んでくれないかな?…ダメ?」
『マスターにダメな事などごさいません。ではこの時よりアレン様とお呼び致しましょう。』
『はっ!マスターはアレン様と呼ばれる事にこそ喜びを感じる事。御意でありますです。』
『はーーーい!分かったー!じゃボクは《レン様》って呼ぶことにするー!』
『ヒカリ!無礼にも程があるでしょう?もっと丁寧で美しい言葉使いを用いなさい。』
チビは怒気を含んだ口調でヒカリを叱責する。
「まぁまぁ。みんな仲良くやろうよ?チビもクロももっと砕けた話し方でいいからね?俺はその方が嬉しいんだけど…」
『それは…アレン様の願いとて不可能でございます。ワタシの創造主たるアレン様に不敬を働くなど…自ら命を絶って詫びるしか無くなります。』
『ワレも無理であります。無口であります故、失礼の無きようこの話し方に落ち着いたのであります。』
『ボクはずっとこのままだよー?丁寧ってなぁに?あははは』
マスターにダメな事なんて無いって言ったのに、、、まぁいいか──
「分かったよ。そこは君たちに任せるよ。それでこれからの話なんだけど…お金が無くてね…今日中にはここを出ていかなきゃならないんだ…ごめんね…」
『ワタシ達はアレン様の忠実なる下僕。天でも地の果てでも共に有る事こそ喜びにございます。』
『ワレらは召喚獣であります。睡眠も食事も必要ではありません。』
『だよだよー!ボク達はどこでもレン様について行くのー!』
──はは──頼もしい。今まで裏切られ続けた人生がここに来て本当に信じられる仲間に出会った──そんな感じだ。
俺達は宿を引き払いギルドへ向かった。
──そう。チビ達を冒険者登録するためだ。
もう一度冒険者としてやっていく──そんな夢を抱き始めたアレンであった。
拙い文章ですが読んで頂きありがとうございます。
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