3匹の猫
初心を思い出したアレン18歳。
絶賛ボッチ中の俺はギルドへパーティーの募集が無いか調査する事にした。
ちなみにヒルデナイトが押さえていた宿は引き払った。
元メンバーに宿の心配をされる事があまりにも惨めだったからだ。
俺はギルド支部が併設されている酒場へ向かう。
「こんにちはー」
初めは快調な滑り出しだった。はずだ。
しかしパーティー募集は殆ど無くあっても子供中心のお粗末な初心者パーティーやクエスト中に死にやすい前衛職の募集ばかりだった。
そして…半年経った。
今までSランクパーティー《郢曲》に所属していたお陰で貯めていた金もとうとう底をついた。
このままでは食事さえもままならなくなる。
「まずい…まずいぞ…」
金が無くなり本日で最後の宿。
安宿で硬いベッドだが野宿よりマシ。
しかもこの宿はかなり良心的で朝飯を無料で提供してくれるのだ。
初めて知った時は泣いて喜んだものだ。
懐かしいなぁ…
だがその宿屋ライフも今日で終いだ。
ベッドの脇には纏められた荷物。
小型の背嚢もある。
灯りを消してベッドに横になると部屋の天井を見る。
ここの天井は板など貼ってない。金が無いのだろう。流石安宿だ。
梁がむき出しで無骨なデザインだが俺は不思議と好きだった。
そんなことをぼんやり考えていると俺はそのまま寝落ちしてしまう。
「ん?ここは…どこだ?」
夢だろうか?
周囲を見渡すと広がった平原にポワポワ浮いている綿毛の様な物。
オーブと呼ばれる物に似ている。
実際オーブを見た事ないから分からないがオーブも都市伝説のような物だと聞いた事がある。
何故かふわふわ浮かび上がる光る物体。
それがオーブだ。
これは夢だろう。それならばせめて楽しい夢を見たいものだ。
最近の俺はついてなかったからな…
神様せめていい夢を――――
――マスター?貴方様はマスターではあらせられませんか?――
「マスター?それは…俺の事か?」
――はい。そうでございます――
何とも変な夢だな。こんな夢は初めてだ。そもそも俺は安眠できるタイプの人間ではない。その臆病さで今まで何とか生きてこれたのだ。
ダンジョンで休憩をする時も――
野営する時も――
宿で寝る時すら熟睡したことはない。
――マスター?これは夢ではございません――
――貴方が望めば姿を現すことも出来ますが…何か…頭で想像した《ワタシ》を思い浮かべてください――
ん?どういう事だ?頭で声の主を思い浮かべろ?
声は透き通っていて鳥の囀りの様――
見た目は――人?――いや…違うな。もう俺は人など信じられない。俺の周りには信じる仲間はいないのだ。
――そう…猫だ。三毛猫。幼い頃飼っていた三毛猫だ――
アレンが幼少期猫を飼っていた時期があった。しかしある日を境に姿を見せなくなった。凛とした顔立ちの三毛猫。《タマ》だ。
「君は凛とした顔立ちの三毛猫チビ。どうだ…?これで良いのか?」
――急に周囲が明るくなり目を開けていられなくなる――
――周囲を漂っていたオーブと見られる光らない綿毛はひとつに集まり塊となる――
ニャー
!?突然目の前に平伏す三毛猫が現れる。
ニャ…ニャニャニャーニャ、ニャニャーニャ、ニャー
そうか…喋れる猫を想像しなかったから…喋れないのか?
今度はちゃんと――二足歩行の話せる猫を想像した――
『マスター。初にお目にかかりますニャ。ワタシの名前は《チビ》ですにゃ。何なりとお申し付けくださいニャ!』
――本当にこれが…この三毛猫の声だったのか?――
いや…違うだろう。俺が発現したのだろう。まだ半信半疑だが…
「チビさん?俺はアレン。マスターとはなんだ?俺は君の飼い主では無いのだが…?」
――突如三毛猫の《チビ》が涙した――
ポン
!?《チビ》が消えた。
「どういう事だ?消えた!?」
――マスターが…アレン様がワタシの事を見て飼い主では無いと感じたからでございます――
――ワタシはアレン様の忠実なる下僕――
――認められ命令される事こそ誉れ――
――認められぬならば消えて無くなる存在なのでございます――
そうか…《チビ》が必要のない存在じゃない事の証明が俺が飼い主であること――
「すまなかった…俺はもう信じられるものが無くてな?君の事も信じられなかった。申し訳ない…」
俺はもう一度先程の《チビ》をイメージした。
!?えーと、、、どういう事、、、?
周囲を取り囲む様にチビの軍団が3人?3匹居る。
『マスター』『マスター』『マスター』
どうやら分身という訳では無さそうだ。
トリオで奏でられる声の中の1匹に注視し耳を傾けた。
『いきなり3名の召喚とは、、、流石でございます。しかしながら同じ見た目同じ姿では今後差し支えると思われます。図々しいお願いで申し訳ないのですが、、、特徴をお与えください。』
3名の《チビ軍団》が頭を地面につけ懇願する――
「わ、分かったから!土下座は辞めて?よっし…」
目の前に現れた奇妙な猫のことなどすっかり忘れて猫たちの特徴、名前、話し方などを必死に考えた――
結果生まれた猫達――
《チビ》
凛とした顔立ちの三毛猫。話し方は丁寧で冷静沈着。性別は女性。群れのリーダー格。一人称を《ワタシ》と話す。
《クロ》
美しく短く揃った毛並みの黒猫。無口な性格で殆ど話さないが素早い状況判断が出来る。性別は男。群れを成すことを嫌い1人行動が多いが群れを大切にする1面もある。一人称を《ワレ》と話し敬語を使えない。
《ヒカリ》
真っ白な身体に一筋の青い線が入る白猫。底抜けに明るい性格で周囲を明るく照らす。リーダーで無くとも周囲を導くカリスマ性を持つ天然キャラ。一人称を《ボク》と話す。
――この3匹が周囲の綿毛と共に発現した――
ここでこの夢は終わった――
うむ…昔飼っていたタマには会えた?し楽しかった――――――
!?誰かいる!?
「誰だ!出てこい!」
『『お呼びでしょうか?マスター』』
『呼んだ?マスター』
俺の日常はここから急変することになる
拙い文章ですが読んで頂きありがとうございます。
評価・ブクマ・感想お待ちしております。
あなたのその評価が頑張る糧になります!
これからもよろしくお願いします!