帰り道
帰り道
見上げる空はモノトーンに染まる
灰色の雲は見た目以上に重いだろう
空を認識して肩にのしかかる重荷
次の一歩で僕は地面に沈むのではないか
起こりえない不安に怯える
一つ風が吹く
頬を叩くような痛みを伴った風
意図しなくとも身体が震える
之はどこから起こるものか
肩に落ちて制服にしみこむ
ふと気づくがもう遅い
重い両手を目に当てる
感じる雪女の恐怖
しかし、これではない
僕は見てしまった
目の前にはあの時の彼女がいた
肩にまた落ちてしみこむ
今度は止まらない
僕はまた見てしまった
粉雪が降り始めたのだ
強い風が吹く
風が雲を押しのけようとする
やはり雲は重かったのだ
零れ落ちてくる雪は
彼女の存在を引き立てる
音もなく降る粉雪の白は
火照った彼女の頬を薔薇色に染める
あぁ、なんと美しい光景だろう
見上げる空は鮮やかに染まる
おや、空が幾分か明るくなっただろうか