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悪の組織の悪たるゆえん  作者: ファイル
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私の冒険者事情

転移で街の中に戻ってきました

ちょうど冒険者達が帰ってくる頃のようで周りは少し騒がしいです


綺麗な建物、組織の本部はこの街のギルドの近いところにありました


というか背の高い建物は軒並み集まっているという感じですかね、具体的には三階建て以上です



本部の場所も確認しましたしササッと帰りましょう

フードを深く被りなるべく暗がりなところを選んで進みます

ギルドが遠いのはいいですけど本部も遠いのは少し面倒ですね


注文の紙を届けるのも億劫になるというものです


…しかし、オコウチャには変えられないか




前方から中型のドラゴンを荷台に乗せて来ている方がいます



人目で分かります、この人がこの街の勇者枠なのだと


…あぁ、強いですね、関わりたくないです


隣には…珍しい形の杖…ですね?

魔法使いでしょうか

男性です

二人で談笑しながらドラゴンを運んでいます


普通魔力量は男性も女性も同じくらい、才能は女性に傾きやすいです、その分力が男性にはあるので男性の魔法使いは余りいないのです


魔法使いになるくらいなら筋肉作って剣士になった方がバランスもとれますし

珍しいですね



ドラゴン狩りの帰りですが男性二人ですね、他の仲間はいないのでしょうか

二人でしたらなかなかな実力者達です



「ねぇ、キミ」


勇者さんが話しかけます

…あぇ?


「君だって」


ぁ、やばい


「うん、やっと目が合ったね、どう?ちょっとお茶しないかい?」


ガシッと腕を掴まれてしまいました


ちょ、こわ




「僕はこの街の勇者、レドって呼んでくれ」


「はぃ…」


「俺はアウスとでも」


「あっ、はい…」



ギルドの方にUターン、併設されている酒場でお酒を出してもらいました


どうやらパーティーへの勧誘らしいです


レドさんとアウスさん

このおふたりはココ、地の街の勇者パーティーだそうです



しばらく二人でやってはおりましたが今回ドラゴンの巣に向かうにあたりドラゴンがしかけた落とし穴に引っかかってしまったようです


それで話し合った結果シーフの職業は必要とのこと


あ、職業のシーフやら盗賊やらは街や人ごとに呼び名が変わります、意味が通じればおーけーみたいなノリです



そして街に着いてから私の歩き方はシーフのそれだ、と


ひとまずは安堵です、組織の者とバレてはなかったですね


そもそもうちの組織はなるべく隠蔽しているので大体的にひっとらえる対象ではなかったはずです




「何事も経験だと言うし、三回位でいいからさ」


「えっと…じゃぁ…はい…」


喜ぶおふたり、嫌だなぁ…


「じゃあ改めて、レド、勇者やってます」

「アウス、魔法使いだが戦い方は特殊でな…まぁそんときに見せるさ」


ーっ!名前、どうしましょう

えっと、たしか冒険者の方に偽名で登録してあった気が


ちらりとアイテムポーチから見えたのは何枚もの冒険者カード


…四枚は見えましたね


ランク報酬で限定品が貰えるのでそれのために貰った過去が…


当たり前ですが一人一枚です



「こ、こういう者です」


「ナズちゃんね」

「よろしく」


…はぃ、私はナズです


まずはおふたりには酔ってもらいましょうか


「実は、私コウチャが趣味でして」


…オコウチャさんの切り方が雑ですね





「それじゃ明日また、ギルドで!」


「おうよー!ナズちゃんまたなぁ!」


おふたりは出来上がってます

もう少ししたら眠ると思いますが私は一度本部に向かう必要があるのでさらばです



本部は外から見れば宿です、そこそこいい宿です


ですが受付の人からもう組織のものです

「すまんね嬢ちゃん、部屋はもういっぱいだよ」

「…半日」


「しかしだなぁ、一日分でとってもいいなら」


「三日分」


「通れ」



めんどくさいですね、宿が本部ですと


先程のが合言葉となっています

更に聞かれ方によって毎度変わるので面倒極まりないです


ただ、通行証を貰いに来ました、やり取りは多分しばらくないでしょう





上司に会えました、戻ってきていて良かったです


また、先程のことを報告したところしばらくは潜伏任務で、とのこと

そして本部の部屋を使っていいと


やったぁふかふかお布団です!


代わりに毎日の報告やらが増えましたが構いません、設備もいいので!

あと隣人どころか建物も仲間内だけなので!



地の街ライフは忙しそうですね!



朝です

二階からの眺めは悪くない感じですかね


いつの間にやら私物も運び込まれていました


まぁ大事なものは常に持ち歩いてるので見られたくないものなどはありませんが


「…ナズ、わたしはナズ」


冒険者用の動きやすい服装、その上から組織のものとは微妙に違う隠密ローブ


リストバンドはつけっぱなしです

バッジがふたつ追加されてますが

ひとつはこの宿の通行証、もうひとつは潜伏任務中を表すもの



受付の人に注文する物を書いた紙を渡していざギルドへ



勇者さん達を見つけました

昨日と席が変わってないんですが


どこかぼーっとしてますね、きっとここで寝落ちしたのでしょう


朝ごはんを頼んで席に座ります


「おはようございます」


「おはよう、ナズちゃん」


…え、目覚めの一杯にもコウチャ使うの嫌ですよ?


「レドさんお酒臭いです、一度水浴びしてきてください」


「あ、あぁ、すまない、そうしよう」



朝ごはんはしっかり食べました、勇者さんが払ってくれないかなぁって可能性にかけて


水浴びしてきた勇者さん達も席につき朝ごはんです

私はスープをいただいてました



今日向かうのは洞窟です

最近多いのはダンジョンが完全に攻略されたあと、洞穴が洞窟となっているパターンです


最奥に別のダンジョンが見つかった事例もあり推奨されているようです



向かった洞窟は宝石の見つかった、警備していた洞窟の近くでした


「…鬱蒼としてますね」

「まぁダンジョンは神出鬼没だからねぇ」


「このダンジョン周りの木を多少伐採しとくのってどうですか?」


目立つように


「うーん?構わないけど、どうしてだい?」


目立つように、はおかしいので


「逃げ帰ってきた時に広い方が何かと便利じゃないですか?」


「ふむ…いつもはゴリ押ししてきたんだけど、そうか、引くという手もあるのか」


あ、そもそもそこからですか?


辞書に逃げの文字はない的なやつですか


それくらいの力量はあるんですかね


軽く伐採しました、これで相対的に宝石の方に行く人が減ることを願います


洞窟に足を踏み入れました



「明らかなダンジョン産モンスターがいるね」


魔物は普通の動物と比べると魔力の有無で判別されます

さらに自然発生するような生物以外がダンジョン産なんて呼ばれます


うさぎ、角うさぎ、ゴーレムうさぎ


的な感じです

うさぎは可愛いです、あとは凶暴です


そしてこの洞窟は道幅からして広く、前方に見えるのは人型のゴーレムです


なかなか…中級者向けの洞窟ですかね


ダンジョン産が関わるとトラップの類も生成されるようになります

厄介極まりないですね



「…詳しくは見えてませんが壁に怪しいところがいくつかあります、壁には注意してください」


よくあるのは落とし穴とかですかね?

探索は今まであまりしてこなかったので詳しくはないんですよね

なんで私シーフの真似事してるんだろ…



「バフ!」

「おっけ!」


レドさんが叫びます、それに合わせてアウスさんが杖…のような鈍器を掲げます


私を含めた三人を赤い半透明のリングがつつみます

青いリングと黄色いリングも直ぐに

体の奥底から力が湧いてきます



…知ってます、身体能力上昇の魔法ですね、魔法使いとして随分と鍛錬を積んでいるようです




そのままアウスさんは鈍器をゴーレムに振り回してます


レドさんとアウスさんはそのままゴーレムを圧倒しました

身体能力上昇をかけて物理で殴る…


ゴリ押しの中のゴリ押しですね





私は壁の様子を見てました、何となく、違和感を感じるんですよね


手の平台の石を投げてみます


すると壁の向こうに消えるではありませんか



「おお!?」「なんだ!?」


いつの間にやら私の後ろにレドさんとアウスさんがいました



「…石の落ちる音が聞こえませんでした、ダンジョンの可能性がありますね」


「ほぅ…俺じゃあ気が付かなかったな」


お二人を見ます、私より少し背が高いので見上げる形になります


「…」「…」


あっ、これ私から行くやつですね、分かりますぅ…



組織からのお守りを握ります

入ってすぐ目の前に魔物がいた、なんて時には直ぐに逃げ帰るためです



先陣…やだなぁ…すごく嫌だなぁ…



足を踏み入れました

…ダンジョン特有の目眩のようなものを感じません


「…?」


目を瞑っていましたが、そっと開きます


そこには目いっぱいにゴーレムの顔が


ズズず…


パクパクと口を開閉します


ぁ…



ゴーレムの目は飾りです、私の知っている知識ならたしか魔力で人や動物を見ているはずです



空気中には魔素なる成分が含まれています、吐息でも微妙に動くその成分、それすら意識して、息を殺し、なりを潜めます


そっと後ろをみます

壁です、しかし私の片足は壁の向こうにあります


つまり幻影の壁と考えるのがいいでしょう


洞窟に地続きのようです、こちらはダンジョンじゃないですね、多分



ゴーレムが一瞬意識を逸らした、気がします

同時に後方からの声


「ナズちゃん?」


後ろにステップをします


「先はダンジョンじゃないです、ゴーレム目の前!」


ゴーレムが動き出します、腕を振りかぶります


横を通り抜ける…アウスさん


「おっと」


後方にステップをしたせいでレドさんに抱きとめられます


「強化ぁあっ!!ロッドぉぉおお!」


幻影の壁の向こうからアウスさんの叫び声が聞こえます


そして爆散する音


ズシンと空気が震えるのがこちらまで伝わってきます



「…行こうか」


「は、はい」


聞こえたのは一撃だけなのですが


幻影の壁を抜けると鈍器を構えたアウスさんが瓦礫の山にたっています



「ダンジョンのような道だね」

レドさんは先を見ていました


先に進み出します


その後に続くアウスさんと私



「あの、一撃なんですか?」


アウスさんの横に並び聞いてみる


「一撃、うん、まぁ一撃だったな、正確には何度か衝撃が襲う一発なんだけどな」


「多段ですか…そちらの棒で?」


「あぁ、こいつぁ特殊な杖でな、分類するならハンマーとかの打撃武器と同じなんだ、でも芯に杖の魔法の制御する素材を使ってるから……」



つまり殴れる杖らしいです、ロッドというようです


ゴブリンメイジ、魔法を使うゴブリンから着想を得たらしいです


ほぇー





幻影の壁の先は足元が焼き石のタイルですかね?になっており歩きやすいです


「人工的なので」ダンジョンのような、という感じです


ダンジョンは人工物じゃないですが



コツコツと三人分の足音を鳴らしながら進んでいきました

ほとんどが一本道で迷うこともありません


ちょっとした、押しボタン式のおそらく罠は少しありましたが

まぁ何となく感じる違和感で看破してやりましたよ

ふふん



「ここが最奥とみていいかな」


三人の前には大きな石造りの扉があります


…いつの間にかダンジョンに迷い込んでいた説をおしたいです



「ボスっぽいよな…いくか」


えぇー…私待ってていいですか?


私ってほら、戦闘職じゃないし、あとゴーレムを一撃で粉砕するような必殺技もないですし…


なんなら通常攻撃とかも…ない、かな

ないんですよ


「身体能力上昇」


再びリングが私たちを通り抜けていきます


ぁあ…不思議とボスも倒せる気分になってしまいます


なに?バフかけて?殴る?そしたら勝つ?


三人で扉を潜りました





私たちは洞窟の外に出ました


え?ボス?おふたりがボコして終わりましたよ


私は入った瞬間へっぴり腰になってましたから



「じゃあー!かえりましょー!」


帰れるとあってテンション高めです


非ダンジョンに現れるゴーレムは珍しいので報告後は人もしばらく多く来るでしょう



帰りも何事もなくギルドに着きました

報告して終わりです


うーん!無事!帰宅!


「じゃあ私は」

「ナズちゃんも飲んでかない?」


あっ…えっと


私は一人の方が好きです

なんて言える訳もなく


「どうぞどうぞ、もっと飲んでください!」


お酌してます


うぅ帰りたい…


どうせなので情報抜いてやりましょう…





「ぶへぇ…洞窟並みに疲れましたぁ…」


今度こそ無事に帰宅です


肉体的疲労、酒の席による精神的疲労のダブルパンチです


レドさんは酔うと悪ノリが過ぎます、触ろうとしないでください


触らせませんでしたが



「このまま眠りこけたい…」


おふたりは酒場で寝ております


あとは知りません



しかし上への報告は大事ですので…


わたしがベッドに潜り込んだのはもう少しあとの事でした


ぐすん…

殴れる魔法使い…殴ルーラー…は違うや

魔法使い(物理)…

まぁ、なんでもいいでしょう

そんな魔法使いが活躍したかったお話です


主人公は仮名としてここはひとつナズとして進んでいきます

どうせ多分このまま定着しますけど


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